Ferrari logo

車輌

他を圧倒する1台

かの有名な映画「ハイランダー」で主演を務めたクリストファー・ランバート。彼は大の車好きですが、今日、彼を待ち受けている唯一のフェラーリ・モデルはPortofino Mです。
文 – シルヴェイン・ライサー
写真 - ジャンルイジ・ディ・ナポリ / 動画 – Oliver McIntyre

クリストファー・ランバートは、フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリに魅了され続けてきました。

旅行経験豊富なこの俳優にとって、跳ね馬のシンボルを擁するモデルというのは、自動車の頂点に君臨する存在です。デザインやテクノロジーが優れているだけでなく、つねに最高のドライビング体験をもたらしてくれるからです。


そのため、Portofino Mを1日掛けて運転できるチャンスがオファーされたとき、彼はそれを即座に受け入れました。フェラーリの最新型2+コンバーチブルを試すべく、パリから少し外れた所にあるシャンティに到着すると、彼は笑みを隠すことができませんでした。彼が40年間にわたり、世界中の映画スクリーンで見せてきた笑顔です。

世界的に有名な俳優であるとともに熱狂的な自動車ファンでもあるクリストファー・ランバート。彼がPortofino Mを走らせる様子をご覧ください 

俳優であるランバートのキャリアには、自身の車好きと関係している部分が頻繁に見受けられます。1986年の映画「ハイランダー 悪魔の戦士(原題:Highlander)」に出演した際、ヒーローのコナー・マクラウドを演じた彼は、作品の中でPorsche 356 Speedsterを駆りました。さらに、その続編では、Porsche 911を走らせています。彼は、1984年の映画「グレイストーク ¬類人猿の王者- ターザンの伝説(原題:Greystoke: The Legend of Tarzan, Lord of the Apes)」に出演し、 それが成功したことで注目されるようになりました。さまざまな「レジェンド(フェラーリ)」を所有したいという子供のころからの夢が急に叶うようになったのは、まさにこの映画の直後からだと彼は実感しています。


 「昔はフェラーリのショールームの前で、『いつかフェラーリを手に入れて、思う存分楽しむんだ』と自分に言い聞かせたものです。スピード違反の切符を切り続けられることになるかもしれないな、と考えるたびに気が変わっていましたけどね」と、彼は振り返ります。そこで彼は一種の妥協策として、フェラーリをレンタルすることにしたのです。彼が気に入っていたのは、 当時のアイコン的存在であった、 365 GTS4(Daytona Spyder)、512 BB、575M Maranelloでした。

Modificata(モディファイ)を意味する「M」の文字:進化したこのモデルには、8速デュアルクラッチ・ギアボックスと、5つのモードを持つマネッティーノが組み込まれています


今日、彼が走らせるのは、フェラーリの最新型コンバーチブル・モデルであるPortofino Mです。思い出に残る1日が終了すると、彼は「この車の多用途性は信じられないほど見事です」と熱く語ったうえで、 「V8ツインターボ・エンジンは、12気筒エンジン並みのセンセーショナルな走りをもたらしてくれるし、サウンドも魅力的です。フェラーリの素晴らしさを表現している、きわめて卓越した1台だと言えるでしょうね」と続けました。


 熟練の俳優でありながら、物事に直接触れる機会を数多く持ってきたというのは、彼の才能によるものです。彼は、車に対する自身の情熱について、これまで出会ってきた人々の影響が大きいと主張します。1980年代の初めには、のちに親友となるジャン・トッドと出会い、レースの世界に引き込まれています。


1993年、トッドがスクーデリア・フェラーリの監督になると、ランバートはマラネッロとフィオラーノ・サーキットを頻繁に訪れるようになります。そしてあるとき、フェラーリの当時の社長であったルカ・ディ・モンテゼーモロが、ランバートに1つのピストンを渡してくれました。そのピストンは、ミハエル・シューマッハのF1マシンに搭載されていたエンジンのものです。

ランバートは車に詳しいことから、Portofino Mの仕様を完璧に理解しています


ランバートは、シャルル・ルクレールのファンであることを認めていて、 「彼は素晴らしいドライバーですよ。彼の謙虚さ、集中力、規律正しい点には感心します。あの年にしては素晴らしいと思います」と話します。現在64歳のランバートは、車を中心とした映画やレースの世界を描いた映画で主演を務めることを今でも望んでいて、 「車に関する映画はすべて見てきましたよ。その中で最も際立っていたのが『栄光のル・マン(原題:Le Mans)』です。スティーブ・マックイーンが出ていましたからね。それから、ロン・ハワードが監督を務めた『ラッシュ/プライドと友情(原題:Rush)』も、本当に素晴らしい映画だと思います。ニキ・ラウダとジェームス・ハントのライバル関係を描いた映画です」と語っています。


彼は自動車映画のオファーを待っている一方、彼の50本目の作品となる最新の長編映画「Love is Better than Life」が大詰めを迎えています。この映画の指揮をとっているのは、ベテランのフランス人映画監督であるクロード・ルルーシュです。彼はシャルル・ルクレールとフェラーリを主役としたフィルム「ル・グラン・ランデヴー(Le Grand Rendez-Vous)」を2020年の5月に製作しています。