Kevin M. Buckley, Gordon Sorlini
フェラーリに対しての熱い思いを自身の愛するペットとどのように共有しているのかについて、世界各国のフェラーリ・オーナーから話を聞きました。
イヴォンヌ・マッカーティは、一番の親友の一人であるアイヴィーと一緒にフェラーリでドライブするのが好きです。イヴォンヌのCaliforniaに乗ると、アイヴィーは後席に座ります。「でも、Lussoの後席には彼女のためのベッドを用意したんですよ」とイヴォンヌは言います。駐車すると、イヴォンヌはトランクを開けたままにします。「そうするとアイヴィーは起き上がって、私が行くのをじっと見つめていますよ。そして、私が戻るのを
待っているんです。」
11歳の親友に対する対応と考えると、少々荒っぽく聞こえるかもしれません。でも、その親友である「アイヴィーさん」というのは、美しいソフトコーテッド・ウィートン・テリアなのです。ヨーロッパとオーストラリアのチャンピオン犬の血筋を引き継ぐアイヴィーは、サーキットにもついて行きます。「アイヴィーは大きい音も気にしません」と、イヴォンヌは言います。「彼女はとっても幸せそうにしていますよ!」
この素晴らしいアイルランド犬は、車にやさしい決定的な特徴も持っています。「ウールのようなアイヴィーの毛は、においがしないんです」と、イヴォンヌは熱く語ります。「それに、家や車に毛を落とさないんですよ。」
一方、イギリスに住むフェラーリ・オーナーのゲイリー・レッドマンは、犬の毛に関して少々苦労している様子です。ゲイリーは彼の4本足の同乗者について、「毛がたくさん抜けます」と認めます。当然ながら、これには妻のリーザが不満を示している様子で、 「だから、彼をドライブに連れていった後は、僕が掃除機で毛を吸い取らなければならないんです」と、ゲイリーは白旗を上げます。
この同乗者はイングリッシュ・ブルドッグのバーニーで、ゲイリーの所有するFerrari Portofinoが大好きです。「僕が助手席のドアを開けるやいなや、もう彼は車に乗り込んでいます。」
助手席にシートベルトをした犬が乗っているのは珍しく見えるかもしれませんが、バーニーは体重約25 kgのがっしりした体格の犬なのです。人材紹介会社『ナウ・キャリアズ(Now Careers)』の創立者兼CEOである50代のゲイリーは、California T、458 Spider、F12 70th Anniversary、さらには488 Pista Pilotiなど、フェラーリの新しいモデルを幅広く所有しています。
Portofinoに乗って外出すると、バーニーのおかげで周囲の人々は好意的な反応を示すようです。「人々はまず、フェラーリだからという理由でこっちを見ます。それから、犬に気がついて二度見するんです」と、ゲイリーは微笑みながら話します。
また、アムステルダム在住のフランク・ブーンは、女性の同行者を隣に座らせ、自身のFerrari 458 Spiderをオープントップの状態で走らせるのが何よりも好きです。
レストランに到着すると、常に紳士的なフランクは車から降り、反対側にまわって助手席のドアをそっと開きます。すると、中からかわいい小さなジャック・ラッセル・テリアが飛び出してきます。見ている人たちからは、思わず微笑みがこぼれます。「そうなんです」と彼は笑います。「通りかかる人々は、エレガントなドレスを着た女性が出てくるものと期待しますよね。でも、代わりに飛び出してくるのは小さなヨップ!」
9歳のヨップは、どこへ行くときもフランクと一緒です。レストランでも、自分のために用意された椅子の上に愛用のフリース・ブランケットを敷いた状態で静かに座っています。
でも、こんな元気の良い犬であれば、フランクが車を運転しているときに何か問題を起こすことはないのでしょうか?「ヨップはジャック・ラッセル・テリアですが、気性はラブラドール・レトリーバーのようです」と、彼は言います。初めてトンネルを通ったとき、「ヨップはトンネルの壁に反響する排気音にびっくりしていましたよ」と思い出すと、フランクはこちらも思わずつられてしまいそうな大きな声で笑いました。そのためフランクは、今は「レース」モードから「スポーツ」モードに切り替えています。
しかしもうひとつ、避けては通れない質問があります。ヨップはこれまで、車の中で粗相をしたことはあるのでしょうか?「いえいえ、一度も。彼女が車を汚したことは一度もありません!」とフランクは大笑いします。PvHヘリテージブランド・ヨーロッパ(PvH Heritage Brands Europe)のヴァイス・プレジデントで、以前はトミー・ヒルフィガー・オランダ(Tommy Hilfiger The Netherlands)のマネージング・ディレクターを務めていたフランクが初めてフェラーリに出会ったのは、およそ6年前、オランダのヒルフェルスムにあるフェラーリ・ディーラーのクロイマンズ(Kroymans)に何気なく立ち寄ったときのことでした。
「中に入ってすぐに、そのフェラーリを買わなければ、と思いました。」それは、Grigio Silverstoneで塗装された430 Spiderでした。現在彼が所有しているのは458 Spiderで、ボディカラーはやはりGrigio Silverstoneです。ヨップはそのディーラーを訪ねたことはあるかと彼に尋ねると、 「もちろんです。クロイマンズの人たちは彼女のことが大好きですよ。」
オーストラリア北部で、ルーク・ニュージェントは2匹のブル・テリアを飼っています。9歳のステラと、7ヵ月のリリーです。
ルークは2018年に自身初のフェラーリとしてSuperfast 812を購入しました。メルボルンのとあるディーラーでこの車に目を奪われたのです。「中に入ってその車を見たわけですが、店を出たときにはもう僕のものになっていました。」
その後、フィリップ島で行われた走行会をきっかけに、彼は地元ゴールド・コーストのディーラーで488 Pista Spiderを購入しました。「Pistaは、これまで僕が運転した中で抜群の車です。見た目が好きなんですが、中でもPista Spiderは最高ですね。」
ルークの犬たちは、彼のフェラーリに対する情熱をよく理解しており、ステラはSuperamericaでもドライブをします。「ステラを乗せてゆっくり走ったのですが、彼女はドライブを楽しんでいるように見えました。ステラは、自分の大きな前脚をダッシュボードに乗せるのが好きなんです。」
ドバイに住むミディアム・プードルのドルチェは、フェラーリ・オーナーのクリント・ウィルフレッドと日常的にドライブしている様子が
とても自然です。クリントのお気に入りのドライブ・スポットは、イタリアのドロミテと、オマーンです。
彼がなぜこの犬種に惹かれたか、その答えはシンプルでした。妻のサブリナが、「いつもプードルを欲しがっていたんです。」 妻と子どもがドルチェに夢中になっている一方、彼はフェラーリに心を奪われています。
砂漠の道には広々とした空間がたっぷりあって唯一無二のフェラーリ・サウンドを楽しむことができることから、「ほとんどの週末は」Portofinoに乗ってドライブに出かけているようです。