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11 7月 2023Magazine, Cars

KC23:ユニークで特別

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KC23:ユニークで特別

フェラーリのスペシャル・プロジェクトチームは、これまでで最も壮観と思われるデザインの、 ほとんど言葉では表現できないほどのワンオフ・スーパーカーを発表

文:アダム・ヘイ・ニコルズ

目の前にあるフェラーリはコンセプトカーではありません。量産車でもありません。完全に1台限りのコミッションです。サーキット重視でありながらエレガントな、この最先端のスーパーカーは、フラヴィオ・マンツォーニ率いるフェラーリのチェントロ・スティーレと、想像力豊かで情熱的で要求の厳しい1人の顧客とのコラボレーションから生まれました。


1人の非常に熱心な跳ね馬コレクターからの依頼による、このスペシャル・プロジェクト・プログラムの最新作は、KC23と名づけられ、革新的であると同時に圧倒的です。その未来的な特注ボディは、定評あるレースカーのアーキテクチャをベースとして、2種類の構成を備え、天使のような車から悪魔のような車へと見た目の印象が変化します。


電動エアインテーク・ベントや堂々とした着脱式リヤ・スポイラーなど、外観と性能の両面で魅力的な革新技術が駆使されています。




このエクスクルーシブな動画では、フェラーリの最新作、KC23 をご披露しています。KC23 は、488 GT3 EVO のパワーと画期的な空力特性を組み合わせたワンオフ・モデルです




内部には、Ferrari 488 GT3 Evo 2020の心臓と魂が息づいています。Ferrari 488 GT3は、マラネッロの76年の歴史において最も大きな成功を収めたサーキットカーで、530勝を超える勝利と119回のチャンピオンシップ優勝を果たしており、究極のプライベート・フェラーリをつくるには最高のプラットフォームです。極限的な性質のV8ツインターボ・エンジン、シャシーおよびサスペンション・セットアップを採用したKC23は、公道ではなく競技以外のサーキットでの使用のみを想定して設計されています。


しかし停車すると、エアロダイナミクスと冷却用の装備が自動的に隠れるようになっています。このアクティブ機能により、すっきりと整然としたラインと美しい曲線を描くフォルムに戻ります。まるで1つの金属の塊から削り出したかのような、無垢材を思わせる美しさです。


エンジンスタート・ボタンを押すと、特注機構によって視覚的スタンスが変化し、巨大なエア・インテークとアクティブ・エアロダイナミクスが出現します。ドライバーはサーキットで責めの走りをするように誘われます。この変化はほとんど有機的におこなわれ、いわばシックなイブニング・ドレスから、ダウンフォースを追求するパンクロックの攻撃的なものへと、雰囲気と体つきが切り替わります。




KC23 はすぐにクラシックなフェラーリのデザインの地位を占めることになります。 停止時には滑らかで美しい曲線を描くフォルムですが、エンジンスタートボタンを押すと、レースに焦点を当てたエアロダイナミクスが出現します




最初から、KC23はホモロゲーションの制約にとらわれないラディカルな車として、ほとんど時代を超えた洗練されたボディワークを採用する運命にありました。フェラーリのバック・カタログのなかで最もレアで最も象徴的なシルエットにも引けを取らない、誕生時点ですでにクラシックな車であると同時に、今後数十年をかいま見させるようなボディワークです。こうした目標を達成するためには、ガラス面やライト・クラスターも含め、Ferrari 488 GT3 Evo 2020のすべてのラインの設計を見直す必要がありました。


KC23には、LaFerrariのように垂直に開くバタフライ・ドアも備わり、劇場のような雰囲気を盛り上げます。ヘッドライトとテールライトにも見直しが加えられました。ヘッドライトは、つい先日、伝統あるル・マン24時間レースで優勝した耐久レーシングカー、Ferrari 499Pを意識したものです。また、テールライトの躍動感あふれるメタクリル樹脂製ライトブレードは、シングルシーター・コンセプトのFerrari Vision Gran Turismoにインスピレーションを得ています。




KC23 はすぐにクラシックなフェラーリのデザインの地位を占めることになります。 停止時には滑らかで美しい曲線を描くフォルムですが、エンジンスタートボタンを押すと、レースに焦点を当てたエアロダイナミクスが出現します




塗装も独特で、 「ゴールド・マーキュリー」と呼ばれる、特別に開発された4層のアルミニウム塗装が施されています。塗料に含まれる液体金属は、太陽光の下では驚くほど明るい輝きを放ち、まるで生き物のように呼吸しているかのようです。しかも、光の当たり具合や見る角度によって色が変化し、 マシンそのものと同じくらい魅力的です。


キャビンは、ドアパネルと助手席側ダッシュボード仕上げを除き、レースカーと同じように無駄がそぎ落とされています。ボタンで覆われたステアリング・ヨークとロッカー・スイッチのパネルは純然たる耐久レース仕様となっています。特注のAlcantara©で仕上げたバケット・シートは、的を絞ったインテリアと都会的なエクステリアの双方を引き立てます。




KC23 のドアは LaFerrari スタイルで垂直に開き、ヘッドライトは最近ル・マンで優勝した 499P ハイパーカーに敬意を表しています




フェラーリの1台限りのワンオフカーは、一般の人の前にはまったく姿を見せないこともあります。しかし今回に関しては、オーナーは自分のコラボレーションを世界と共有したいと思っています。フェラーリのパーソナリゼーションの頂点ともいえるKC23は、7月13~16日に英国で開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般初公開されてから、8月1日から10月2日までマラネッロのフェラーリ・ミュージアムで展示されます。「フェラーリスティ」にとっては大きな喜びです。


これは、多くのフェラーリのオーナーや愛好家にとって、夢のフェラーリがどのような形を取りうるのかについて、想像力を刺激される機会となるでしょう。理想を追いかけた1人の顧客は、その夢を現実のものにしました。




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