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車輌

真なるフェラーリ

ブランドの設立当初からV12は企業DNAに宿る基本要素でした。待望の12Cilindriと12Cilindri Spiderの発売は、アイコン的な存在でも革命を起こすことができることを証明しています
文:ガビン・グリーン / 動画:オリバー・マッキンタイヤー

LaFerrariはまさにフェラーリそのもの。当時、そしておそらく今日でも、究極の跳ね馬と言える車です。この車は、ダイナミックパフォーマンスという点で史上最高のフェラーリ車の1つであり、最先端のテクノロジーがパフォーマンスと運転の楽しさの両方を向上させることを示す素晴らしい事例です。フェラーリが路上やレースから得たノウハウをすべて取り入れ、それらを組み合わせることで、真に素晴らしい限定生産のスーパーカーを生み出したのです。

公道とサーキットで「真なる」LaFerrari が活躍する様子をご覧ください…

取り入れられたテクノロジーには、アクティブエアロダイナミクス、当時最先端のカーボンファイバーシャシー、そしてF1スタイルのKERS(運動エネルギー回生システム)ハイブリッドパワートレインなどがあります。これらすべてが、LaFerrariを当時最速かつ最強のフェラーリ車に仕立て上げました。しかし、この車はそうであっても、素晴らしいアナログスポーツカーのようにも感じられてフィーリングも良く、目もくらむほど速く、そして完全にコントロールすることが可能で、吠えるようなV12サウンドを奏でます。


2013年のジュネーブモーターショーで発表されたLaFerrariは、まさに究極のフェラーリであることを示すためにその名が付けられたのです。これは、GTOからF40、F50、そしてEnzoに至る、フェラーリの限定生産のスーパーカーという気品溢れる血統の最新作でした。

上:ロードカーとレーシングテクノロジーの両方から集積された最先端の技術により、LaFerrari はマラネッロでこれまでに作られた中で最もダイナミックで高性能な車の1台になりました

その主役となったテクノロジーは、2009年にF1で初めて使用され、2011年から広く普及したKERSシステムでした。このテクノロジーは、2009年のベルギーGPでキミ・ライコネンを優勝へと導いています。LaFerrariでは、KERSシステムが163cvの電気モーターにエネルギーを供給し、このモーターがデフを通じてリアホイールを直接駆動しています。電動モーターの役割は、純粋に性能を向上させること。多くのハイブリッド車とは異なり、電動モードで作動するようには設計されていません。それは、9000rpmで800cvをたたき出す6.3リッターのV12エンジンを静かに支えています(9250rpmという驚異的な回転数を維持可能)。


重要なのは、電動モーターがトルクを押し上げているということ。特に、低回転域での加速をより直線的にして高速化しており、その結果、スロットルの即時応答やシームレスな出力伝達を実現しています。また、これにより、最高出力を目指してV12エンジンをさらに調整できるといううれしい副産物も生まれ、その驚くべき回転数と非常に高い出力値を生み出した要因の1つとなっています。

上、左から:LaFerrari は、車の操縦性と運転感覚を高める先駆的なアクティブ・エアロダイナミクスを特徴としています。簡素ですが目的意識のあるインテリア。ドラマチックなバタフライドアは、LaFerrari の劇場感覚をさらに高めています

V12と電動モーターを合わせて得られる出力は963cvで、当時のロードモデルのフェラーリとしては最もパワフルな車でした。そして、最速を実現。最高速度は350km/h以上、0-100km/h加速は3.0秒未満、0-200km/h加速は7.0秒未満、0-300km/h加速は15秒という圧倒的な数字を記録しています。フェラーリが所有するフィオラーノ・サーキットでは、フェラーリの限定生産スーパーカーの前身であるEnzoよりも5.2秒速いラップタイムを残しています。


この車は、フェラーリ初のハイブリッド車です。スクーデリアの電動化の未来を示すものであるだけでなく、そのアクティブエアロダイナミクスも先駆的でした。一体型のリアスポイラーは必要に応じて上下に動きますが、空力学的な作用のほとんどは、フロントとリアのディフューザーにある自動調整フラップとアンダーボディガイドベーンにより、車体の下側で発生します。これらはすべて、コーナリングおよび制動性能、最高速度、そして車両の制御性やフィーリングの向上に役立ちました。


これにより、車体上部に大きなスポイラーや他のパーツを取り付けなくて済むという結果も得られています。LaFerrariは、330 P4や312 Pなどの1960年代の美しいスポーツレーサーを彷彿とさせる、すっきりとしたクラシックなフェラーリの美学を体現。彫刻的で美しく、戦闘機のようなガラス張りのキャノピーを持つこの車は非常に特徴的です。

上:LaFerrari の一体型リアスポイラー(自動的に下降・傾斜)と車体下部のエアロダイナミクスが組み合わさり、高速安定性、ブレーキング、コーナリング性能が向上します

KERSハイブリッドシステム以外にも、F1由来の優れた特徴としてカーボンファイバーのシャシーがあります。これは、F1世界選手権で11回の優勝に導いたデザイナーのロリー・バーンが一部設計したものです。そのシャシーの材質はGPカーと同じものです。Ferrari Enzoよりもねじれ剛性が27%以上向上し、重量も20%軽くなっています。驚異的な剛性により、ハンドリングの卓越性と運転の予測可能性がさらに向上しました。LaFerrariは、言うまでもなくすぐに完売。499台すべてが車両公開前に完売しました。その後には、オープントップモデルのApertaが登場しています。


2019年に、1000cvという驚愕の数字を達成するプラグインハイブリッドのSF90 Stradaleが発売されるまで、LaFerrariは、マラネッロ史上最もパワフルな車であり続けました。最新モデルでさらにパワフルになったSF90 XX Stradaleは最近、LaFerrariがフィオラーノ・サーキットで残したラップタイムを2.4秒も上回りました。これは、フィオラーノのラップ記録がいかに早く塗り替えられるか、そして、電動化によるハイパフォーマンスカーの可能性や、マラネッロでの技術開発のペースがどれほど速いかを証明していると言えるでしょう。

27 giugno, 2024