Ferrari Daytona SP3は、330 P3/P4、330 P4、412 Pといった1960年代のフェラーリ・スポーツ・プロトタイプからインスピレーションを得ています。そしてそれには、ドライビング・エクスペリエンスも含まれます
フェラーリがDaytona SP3で目指したのは、ドライバーとマシンが最もダイレクトにつながることでした。純粋で、人間的で、直感的。この特別なモデルは、アナログ感覚への回帰を表現しています。
その体験は、クルマに目を向けた瞬間から始まります。これまでのフェラーリと同様、そのスタイリングは性能と不可分の関係にあります。見えないようにレイアウトされたドア・ハンドルを操作して、バタフライ・ドアを開けて、ルマン風のフロント・ウィンドウを避けるように身体を滑り込ませて乗り込みます。車高はわずか1,142 mmで、ほとんど路面に座っているような感覚です。
カーボンファイバー製のシャシーに直接固定された、身体を包み込むようにフィットするドライバーズ・シートに座ると、まるでレーシングカーに乗り込んだかのような気分になります。シートにあるトグルを使ってペダル・ボックスを調節すると、その感覚はさらに高まります。
Ferrari Daytona SP3 は、330 P3/P4や412Pなどの60年代のプロトタイプ・レーサーから生まれました
V12エンジンに火を入れると、直感的なつながりが生まれます。エンジンは背中からわずか数センチ離れた場所にありますが、シートを通してその鼓動が伝わり、まるで自分の体の一部のように感じられます。また、この振動を感知するのは身体だけでなく、耳も同じです。812 Competizioneのセンセーショナルな自然吸気V12エンジンは、さまざまな点で強化されていますが、その中でも特に重要なのがサウンドです。チェーン、ギア、バルブ、ピストンなど、内部の機械部品の作動音を聞くと、まるで生き物のように感じられます。超シャープなスロットルを吹かすと、独自に開発したエアインテークとエキゾーストから生々しい、エネルギッシュな、可能性に満ちたサウンドが響きます。
ムジェロ国際サーキットは、最新のフェラーリ・イコナ・モデルのダイナミックなデビューに最適な場を提供しました
Daytona SP3は、究極のパフォーマンスを発揮することは言うまでもありません。840 cvのV12エンジンは、フェラーリが生産した中で最もパワフルなものです。記録的なパワーウェイト・レシオと加速の数値がそれを物語っています。0-100 km/h加速は2.85秒、0-200 km/hはわずか7.4秒です。しかし、本当にドライバーに語りかけてくるのは、上昇し続ける出力曲線、決して止まらない前進力、9,500 rpmまで回転し発揮される強烈な能力です。
しかし、Daytona SP3のドライビングはきわめて肉体的な作業である反面、そのすべてが、自分がコントロールしていることを実感させてくれます。フェラーリSSCサイドスリップ制御の最新バージョン6.1では、ミッドリヤ・エンジンのV12としては初めてフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)が搭載されました。マネッティーノを'Race'または'CT-Off'に切り替えると、FDEはブレーキ・キャリパーを巧みに操作して限界走行時の車両のヨー角をコントロールし、車のハンドリングをより予測しやすく愉しいものにします。
内外を問わず、 Ferrari Daytona SP3 のすべての要素は、美しい体験を提供することにフォーカスを当てています
この感覚は、入念にキャリブレーションされたステアリングによってさらに強められ、ここでもより物理的でダイレクトなフィーリングを実現しています。足がフロント・ホイールより前になるように着座するため、すべての動きを詳細に感じることができます。Pirelli P Zero Corsaタイヤもその一翼を担っています。このタイヤはDaytona SP3専用に設計され、ドライとウェットの両方のコンディションで完璧にバランスのとれた性能を発揮します。ブレーキは、フロント398 mm、リヤ380 mmの大径ディスクが採用され、ブレーキ・バイ・ワイヤーではなく、バキューム・ブースト方式が採用されていることも、かつてのスピリットを反映しています。
記録的なパワーウェイト・レシオと加速の数値がそれを物語っています。0-100 km/h加速は2.85秒、0-200 km/hはわずか7.4秒です
フェラーリの開発テストドライバー部門の責任者であるラファエレ・デ・シモーネは、ムジェロ国際サーキットを走った感想を次のように語っています。「ムジェロでDaytona SP3をドライブして爽快な気分になりました。サーキットでDaytona SP3とフェラーリの象徴であるスポーツ・プロトタイプの直接のつながりを目の当たりにして、私は特別で対照的な2つの感情を抱きました。感謝と誇りです。感謝は、あの有名なデイトナ24時間レースのウイニングラップを、まるでその場にいたかのように再体験できたことに対するものです。そして、私が今日のフェラーリ関係者の先頭に立っていることへの誇りです。ムジェロでは、私のわずか数メートルの所に330 P3/P4、330 P4と412 Pが並んでいましたが、それらは常に私達と共にあり、1967年2月のデイトナで先達が実現してみせたように、より高い限界を超えるよう私達の背中を押してくれているのだと思います」。