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迷うほどの多彩な選択肢

24 novembre 2020

ジェイソン H. ハーパー

クリスティン・ブラウンは自身のSF90 Stradaleを特別な1台に仕立て上げることに決め、ニューヨーク・シティのフェラーリ・ディーラーにあるテーラー・メイド・ショールームに足を運びました。パームビーチ出身のこの女性は、用意されているオプションに感動した様子です。


クリスティン・ブラウンがフェラーリのショールームに足を踏み入れたとき、彼女はすでに自分のアイデアを固めていました。ホワイトのカラーリングを施そうとしていたのです。この熱心なフェラリスタはすでにSF90 Stradaleを注文していて、それを唯一無二の1台に仕立て上げたいと思っていました。彼女がマンハッタンを訪れたのには、こうした理由があったのです。ニューヨークにあるこのディーラーは、テーラー・メイド・プログラムのデザイン・スタジオ持つ点を特徴としています。テーラー・メイド・プログラムはフェラーリが最高水準のカスタマイズ・サービスを提供するものであり、そのプログラム向けのデザイン・スタジオ持っているこのディーラーは、イタリア国内のものに続く3番目のディーラーとなります。

ショールームでテーラー・メイドを担当するキャサリン・サントスは、「テーラー・メイドを希望されるお客様は、きわめてファッショナブルな方々やアート・コレクターの方々、あるいはデザインにこだわりを持つ方々といった傾向があります」と話します。ブラウンは488 Spiderや488 Pistaを含めて8台のフェラーリ・モデルを所有していますが、彼女のプロフィールもこれにぴったりと当てはまります。

彼女は、「私が持っているすべての車には共通のテーマがあるんです」と話したうえで、「どれもボディはホワイトで、ホイールはブラックかカーボン仕様です。それから、いつもアクセントにレッドを入れています。ブレーキ・キャリパーをレッドにしたり、インテリアにレッドのアクセントを入れたりするといった感じです」と続けています。

各種のファブリックで触感を良くするというのは、すべてのプロセスにおいて重要です。「そうした昔からの方法は今も続いています」と、サントスは話します。

ブラウンはディーラーに到着すると、レンダリングを含め、既にデザイン・ボードに用意されていた内容に感銘を受けました。

きわめて多彩なオプションを利用しながら、ディーラー内のスペシャリストらは、お客様に対して各種の提案や案内をします。サントスの言葉を用いるなら、それぞれお客様が「自身にとっての真の北極星を見つける」ことができるようお手伝いをするのです。

このプログラムの3つの“コレクション”は、クラシカ(Classica)、スクーデリア(Scuderia)、イネディタ(Inedita)です。
“クラシカ”は、1950年代のレーシング・カーがインテリアに用いていたイングリッシュ・レザーなど、フェラーリの歴史を物語る素晴らしいエレメントにインスパイアされたものです。

“スクーデリア”は、パフォーマンス志向のオーナーを対象としたもので、高度な技術を用いた素材に重点を置いています。「フェラーリでは、防弾性能を備えたミリタリー・グレードの素材を各種ご用意しています。どれもフェラーリの積極的な姿勢を示す唯一無二のアイテムです」と、サントスは説明します。

“イネディタ”のコレクションは、その名の通り、実験的要素や創造性に富んだ内容です。
「イネディタは、文字通り未編集の状態を意味します。ですから、イマジネーションの観点と私たちが使用する素材という観点からすれば、最も大胆なコレクションであると言えます」と、サントスは話します。

所有するすべての車を走らせるうえに、サーキットが大好きなクリスティン・ブラウンは、自然とスクーデリア・コレクションに引き寄せられます。「ショールームに入って、担当のスペシャリストたちがそれぞれの提案内容を示してくれたとき、私はそれらに感動したわ」と、彼女はその素晴らしさを伝えるべく興奮気味に話します。

彼女とスぺシャリストたちは、ファクトリーが推奨するアセット・フィオラーノ(Assetto Fiorano)パッケージを追加することにしました。このパッケージには、パフォーマンスを引き上げる、改良型のリヤ・スポイラーが含まれています。これについて、「車がいっそうアグレッシブなルックスに仕上がりますよ」と、サントスは述べています。

ボディ・カラーについて、サントスはビアンコ・キング(Bianco King)をブラウンに勧めました。このカラーは、フェラーリが現在用意しているカラーの中で最も白い白です。さらに、ボンネットとフライング・バットレスに沿って、ロッソ・コルサ(Rosso Corsa)の細い『ドリームライン』が施されました。

また、ブラックのインテリアには、希望していたレッドのアクセントをあしらうことにしたほか、車内のカーボン・パーツにもドリームラインを施してみてはどうかという提案について、ブラウンは嬉しそうにそれを受け入れました。「ボディとインテリアに対する特別な塗装とメタリックのライン・ストライプは、1ヶ月前には存在していませんでした。スペシャリストの方々は他のスタッフと違って、工場で何ができるかを熟知しているのです」とブラウンは熱く語ります。ディーテールに対してのバリエーションがきわめて多彩であるからこそ、テーラー・メイドが成り立っているのです。

シートとインテリアには、レザーの代わりにスーパー・ファブリックの『マイクロ・プレステージ』を選択しました。グリップ性の高いこのハイテク素材は、重さが三分の一であるうえ、耐炎性と耐水性を備えています。「私は、サーキット走行に適したものが欲しかったんです。この素材は、車両自体のテーマに沿ったものですよ」と、ブラウンは確かな口調で話します。

サントスは、フェラーリ・コレクターとのお仕事を大変楽しんでいた様子で、「彼女は非常に情熱的で、熱意をストレートに示す方です。デザインに対する目も優れています」と話します。

クリスティンの夫であるマシューもフェラーリ・コレクターですが、彼のコレクションはすべてイエローです。現在、彼は自身のSF90に対するテーラー・メイド・オプションを検討しています。一方のブラウンは、すでに次の車のことを考えているようです。彼女は、「一度テーラー・メイドを利用すると、他の車にそれを利用しないなんて、考えることすら難しくなってしまいますね」と述べています。