クラフトマンシップについては、「悪魔と天使が細部に宿る」ということが言われていますが、それが事実であることを最も的確に認識できるものとして、モンブラン社から新たに登場した「グレート・キャラクターズ・エディション」があります。エンツォ・フェラーリ、さらにはレースに対する彼の情熱を称えるための新製品です。
モンブラン社製のこのペンには3つのバージョンがあります。「スペシャル・エディション」、「リミテッド・エディション1898」、「リミテッド・エディション98(98本のみの限定生産)」の3種類です。それぞれのディテールがどれほど手の込んだものであるかを余すところなく理解するには、エンツォ・フェラーリの人生、さらには彼自身の功績を最初に理解しておくことが必要と言えるでしょう。
黄色の樹脂はモデナのシティ・カラーを表しています。 それはメタル・グリッドにはめ込まれており、ビンテージ・カーグリルにインスパイアされたものです
エンツォ・フェラーリは、1898年2月18日にイタリアのモデナで誕生しました。スピードに情熱を燃やしていた彼は25歳でレーシング・ドライバーになると、ラヴェンナのサーキット・デル・サビオを舞台とする自身のデビュー戦でコストルツィオーニ・メカニケ・ナツィオナーリに勝利をもたらしました。
1929年、40戦以上を重ねたエンツォは、自身のレーシング・チームであるスクーデリア・フェラーリを立ち上げます。そして1949年、フェラーリのエンブレムを付けた最初のモデルがマラネッロの工場で生産されました。排気量1500 ccの12気筒モデル「125 S」がそれです。
では、何故これらのディテールが重要なのでしょうか?それは、モンブラン社が細心の注意を払いながら、そうした事実(さらには、それ以上のものまで)を同社の特別な筆記具に反映させているからです。たとえば、「リミテッド・エディション1898」の場合、キャップとバレルの金属部分には、125 Sを称えるべく、同車エンジンの表面仕上げを連想させる装飾が施してあります。
最新のグレート・キャラクターズ・エディションで、モンブランはエンツォフェラーリの生涯と遺産に敬意を表しています
また、このペンには、マラネッロの工場所在地がキャップの頭部に刻んであるほか、フロステッド・クォーツによるモンブランのエンブレムまでもがあしらってあります。エンツォは少年時代にレーシング・ドライバーになることを夢見ながら、霜のついた窓でサインの練習をしていましたが、このエンブレムはその窓を想起させるものです。このペンを真の特別なアイテムに仕立て上げている要素は他にもあります。用意されているインクのカラーは、エンツォ・フェラーリのお気に入りだったものとまったく同じパープルです。
おそらく、このスペシャル・エディションにおいてフェラーリらしさを最も瞬時に感じさせるのは、キャップとバレルのカラーであると言えます。フェラーリの「Rosso 70 Anni」にインスパイアされた美しいレッドですが、近くで見るとさまざまな発見があります。
筆記具のメタル・ルテニウム・コーティングされたクリップには、エンツォ・フェラーリ自身の言葉がレーザー刻印されています
さらに、エンツォ自身が口にした「情熱を言葉に表すことはできない。実践するのみだ」という言葉が、ルテニウムでコーティングされた金属製のクリップにレーザーで刻印されています。このほか万年筆に関しては、さらなる特徴があります。ロジウムでコーティングされたソリッド・ゴールドのペン先には、Ferrari 250 GTOのステアリング・ホイールと「Pilota」の文字が刻まれています。
クリップの横には跳ね馬のロゴに加え、フェラーリの有名なV12エンジンを想起させるエア・ベントがデザインされています。さらに「リミテッド・エディション98」においては、キャップの両サイドに4列のエア・ベントが配されています(これはFerrari 500 F2のサイド・ボディをモチーフとしたもの。Ferrari 500 F2は、1952年のF1選手権でスクーデリアに初の選手権制覇をもたらしたマシン)。このモンブラン・シリーズは、エンツォ・フェラーリの人生および彼の偉大な功績を簡潔に表現したものです。