Ferrari logo

情熱

徹底的に

フェラーリの類まれなV8エンジン、そこに備わる美しさを内装に再現できないでしょうか?大胆な願望ですが、テーラーメイド・プログラムが再び魔法を披露しました。今回の相手は、F8 Tributoです
文:マーク・ディクソン
写真:マティア・バルサミーニ

フェラーリのモデルはどれも特別な車ですが、より特別な1台に仕立て上げることが可能です。

テーラーメイド・プログラムを利用すれば、新しいフェラーリがより個性的に仕上ります。

可能性は、ほぼ無限大です。様々なトリム素材、テクスチャー、塗装仕上げ、カラーを組み合わせることで、路上の他の車とは全く異なる、真にユニークな1台を作り出すことができます。

しかし、選択肢があまりにも広すぎると、当然のことながら、カスタマイズは難しくなってしまいます。そこで、フェラーリ車のオーナーに向け、スタマイズのための道しるべとして3種類のコレクションが用意されています。Scuderia(スクーデリア)、Classica(クラッシカ)、Inedita(イネディタ)の3つです。

テーラーメイドにはカラーの選択以上のものがあり、F8 Tributo は何が達成できるのかの可能性を示すために選ばれました

これらは境界線が明確でないため、異なるコレクションから様々な要素を取り入れることができます。いずれかのコレクションを出発点とすることで、全体にバランスのとれたデザインに仕上げられるのです。


テーラーメイドは単にカラーを選択できるだけの手段ではありません。フェラーリはテーラーメイドの可能性を示すために、独自のテーラーメイド・モデルを製作しました。写真のF8 Tributoがそれです。


F8 Tributoの心臓部である、3.9リッターのツインターボV8は、権威あるインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを4年連続で受賞しています。この快挙を祝して、エンジンにインスピレーションを得たカスタマイズがテーラーメイド・プログラムを通じて施されました。中でも注目すべきはインテリアです。フェラーリのカラー&トリム部門を率いるシルビア・カバラーロは次のように話しています。

3.9リッターのツインターボV8エンジンは、テーラーメイドのカスタマイズ、特にインテリアのインスピレーションになりました

「エンジンのインレット・マニホールドにはレッドのクラックル仕上げが施してありますが、コックピットに用いたレッド・レザーに対し、その仕上げをテクスチャーとして反映させました。特別に開発された加圧機械処理によるもので、シート、ドア・カード、ドア・オープナー、ダッシュボード下部、フロアマットインサートにそのレザーを用いています。これに、ブラックのネロ・レザーとアルカンターラ製のカーペットを組み合わせました。」


「シート自体もユニークです。通常はアウター・ボルスターのみをカスタマイズできますが、この特別なモデルではシート・インサートも変更しています。クラックル仕上げを施した同一のレッド・レザーを用いてレーシング・ストライプを加えました。レーシーなデザインにすることを意識していたので、グリージョ・ナートとカーボンファイバーは、光沢ではなくマット仕上げです。」


「同様の理由から、エクステリアはRosso Corsa Opacoでカラーリングされています。このカラーは、フェラーリのクラシックなレーシング・レッドをマット仕立てにしたものです。ルーフとウインドウ・ピラーはマット・ブラックのNero DS 1250 Opacoで塗装しました。

エクステリアの塗装は、フェラーリのクラシックなレーシング・レッドをマット仕立てにしたRosso Corsa Opacoです

全体的な印象が重くなり過ぎないようにするため、アロイ・ホイールはブラックではなくグリージョ・コルサで仕上げ、ディテールを保っています。また、エクステリアのカーボンファイバーは光沢仕上げとなっていて、インテリアで採用したマット仕上げを引き立てています。」


なかなか複雑ですね。でも、心配はいりません。テーラーメイド・プログラムを予約されたお客様については、2人のデザイナーがお手伝いをします。1人はお客様に選択肢をアドバイスし、もう1人はコンピューターで選択されたオプションをリアルタイムでシミュレートします。多くのお客様は、物理的にもピリチュアルな面でもフェラーリの本拠地であるマラネッロを訪れますが、テーラーメイド・センターは、ニューヨークと上海にもあります。


テーラーメイド・プログラムの民主的な側面は、対象とする車種にも表れています。Monza SP1、SP2などの限定モデルはもちろん、現行のフェラーリ全モデルがテーラーメイドの対象となっていることから、実に様々なモデルが選ばれています。それは限られた方のためのクラブであると同時に、すべての人に開かれたクラブでもあるのです。