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Rosso Ferrariは存在するのでしょうか?

07 gennaio 2021

1950年5月21日にフェラーリがモナコGPでF1デビューを果たした際、フェラーリの125 Sと125 F1は、どちらもワイン・レッドに塗装されていました。この暗赤色の色調は20世紀の初頭からイタリア製レーシング・カーの公式カラーとなっていて、2020年にスクーデリア・フェラーリが同チームにとっての1000戦目を迎えた際には、2台のSF1000がかつての色調を忠実に再現していました。

1960年代になり、F1マシンのボディ・デザインがスポンサーの影響を受けるようになった後も、フェラーリは伝統にこだわり、マシンのボディーを赤だけで塗装する唯一のコンストラクターであり続けました。その結果、赤はフェラーリのオンロード・モデルを象徴するカラーとなったのです。

ほぼすべてのお客様が赤を選択すると考えられていたことから、1990年代初期に生産されたフェラーリ・モデルは、その85%が赤のボディ・デザインを纏っていました。しかし、この傾向は変化しており、現在、お客様の選択するカラーはきわめて多岐にわたっています。にもかかわらず、お客様の約半数は、フェラーリの標準ラインナップであるかテーラーメイド・プログラムによる特別色であるかにかかわらず、伝統ある赤色を今もなお選択しています。

現在では、お客様独自のカラーリングを決める前に、フェラーリのコンフィギュレーターを使用して9通りの異なる赤い色調を確認することが可能です。これらのカラーはそれぞれの歴史と進化を伴いながら、フェラーリのオンロード・モデルおよびレーシング・マシンの象徴となりました。

最も有名で人気も高いのが、フェラーリならではのカラーとされるRosso Corsaです。欧州宇宙機関による2003年の火星探査ミッションでは、特別に組み立てられたカプセルにRosso Corsaが入れられ、宇宙へと打ち上げられました(当然のことながら、厳しい機械および温度テストを経て、過酷な条件に耐えられることが確認されています)。

Rosso Corsaは明瞭で明るい色調ですが、フェラーリのF1チームが使用する伝統的なRosso Scuderiaは、同系色ながらより明るい色合いとなっています。このほかにも、フェラーリの歴史と深い関係のあるカラーとしてRosso Dinoがあります。Dino 206 GTをリリースした際のもので、それとなくオレンジを含んだ赤です。

技術開発が進んだことで、今日のお客様はフェラーリのニューモデルがリリースされると同時に広範な選択肢を手にすることができます。たとえばRosso CaliforniaとRosso Portofinoは複雑な色調のメタリックで、新世代の塗装色に属します。

また、技術の進歩によって伝統的な色調のさらなる発展も実現しました。2015年リリースの488 GTBで採用されたRosso Corsa Metは、Rosso Corsaに対峙するカラーであり、光が当たるとメタリックならではの繊細な色合いを放ちます。2017年にフェラーリ創業70周年を記念して用意されたRosso 70 Anniは、812 Superfastで初めて使用されたカラーであり、私たちの過去と深く結びついたパステル・カラーを際立たせます。

もちろん、フェラーリが継続的な革新を心掛けているのは色だけではありません。塗料サプライヤー「PPG」との協力を続けてきた結果、フェラーリは2018年に革新的な低温塗装システムを導入し、ロー・キュア・クリア・コート技術を採用する世界初の自動車メーカーになりました。特殊な調合がなされたクリア・コートは、車両を150°ではなく100°で乾燥させることができるため、消費エネルギーを削減します。

これは、フェラーリが現在取り組んでいる、エクセレンスとサスティナビリティーの追求を強調するものでもあります。2004年、フェラーリは水性塗装システムを世界に先駆けて採用するメーカーの一つとなりました。このシステムは、自動車が環境に与える負荷を大幅に低減させる点が特徴です。

こうした進歩を継続させてきたこと、およびマラネッロにおける塗装工程に細心の注意を払ってきたことにより、フェラーリは最終製品を輝かしい芸術品に仕立て上げられるようになったのです。これは、赤であってもその他の色であっても変わりません。