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24 6月 2021

運転の楽しさを定義する

車輌

運転の楽しさを定義する

フェラーリがドライバー・シートの後部にパワープラントを搭載した初のスポーツカーを発表してから60年、フェラーリの本拠地マラネッロでは跳ね馬のミッドリヤ・エンジンを搭載した2シーター・ベルリネッタの最新開発モデルが公開されました。Ferrari 296 GTBがそれです。

文 – ベン・プルマン

Ferrari 296 GTBは、運転の楽しさを再定義するモデルです。

そのドライビング・エクスペリエンスは、マシンの限界に挑戦する場面だけでなく、日々の運転においても、ピュアな感動が約束されます。

663 cvの120° V6エンジンに電気モーターを組み合わせた、新しいタイプのパワーユニットを持つ、フェラーリにとって真に革命的な車です。このハイブリッド・アーキテクチャーの合計出力は830 cvとパワフルで、爽快でユニークなサウンドと共に驚異的なパフォーマンスを実現しています。

注目すべきは車名です。総排気量(2.992 cc)と気筒数に、フェラーリの伝統であるGTB(グランツーリスモ・ベルリネッタ)の頭文字を組み合わせたもので、フェラーリにとってこの新エンジンが大いなる変革をもたらすという重要性を明確に示しています。

また全体的な総出力と相まり、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)システムが、アクセル・ペダルの反応時間をゼロにし、電気のみのeDriveモードで25 kmの走行距離を実現するなど、あらゆる走行シーンにおける296 GTBの使い勝手の良さを保証しています。




特に1963年に発売された250 LMは、しなやかで彫刻のようなボディ、Bピラーのデザイン、エア・インテークがセットされたウイングの特異な構成、繊細なプロポーションのカムテールなど、デザイナーにインスピレーションを与えました。




この新型V6は、フェラーリのエンジニアによるクリーンシート・デザインで、「跳ね馬」としては初めて、エンジンのV字内にターボを搭載しています。エンジン全体の質量と重心が低くなり、新しいフェラーリV6は、221 cvの市販車としてリッターあたりの燃費の新記録を樹立しました。

EVモードとハイブリッド・モードの切り替えは、スポーツカーの特性を持つ296 GTBの基本操作になります。このために従来のManettinoに加えてパワーマネージメント・セレクター(eManettino)を採用しました。eManettinoには、「eDrive」、「Hybrid」、「Performance」、「Qualify」の4つの設定があります。

296 GTBのサウンドは、ターボの力強さと自然吸気V12の高周波音という、本来は正反対の2つの特性を調和させることで、常識を覆しています。低回転域でも、キャビン内のサウンドには純粋なV12の倍音が含まれており、高回転域では典型的な高周波の高音が確実に響きます。さらに、8500 rpmに達するとリミッターの働きによって、さらにサウンドが高まります。




車のバランスと繊細なハンドリングを確保するために、軽量化には細心の注意が払われています。ハイブリッド・システムを採用したことによる重量の増加分は、さまざまなソリューションによって相殺されています。その結果、乾燥重量はわずか1470 kgとなり、クラス・トップレベルの重量出力比、1.77 kg/cvを達成しました。




296 GTBのエアロダイナミクスも画期的です。空気抵抗をコントロールするためではなく、ダウンフォースを増大させるために、アクティブ・デバイスが初めて採用されました。LaFerrariにインスパイアされたアクティブ・スポイラーがリヤバンパーに搭載されているため、ハイダウンフォース設定では、リヤアクスルに100 kgのダウンフォースが加わり、パフォーマンス・ドライビング時のコントロール性を高め、ブレーキ停止距離を最小限にできます。

このような印象的なパフォーマンスは、車のボリュームをシームレスに最適化することで達成されており、シンプルさと機能性を特徴とする1960年代のフェラーリをベースにしながら、卓越した現代性を備えています。その結果、非常にクリーンでエレガントなデザインが実現しました。性能を追求するすべての要素がスタイリングに無理なく溶け込み、すべてのフェラーリに共通する特徴「テクノロジーと美の密接な関係」が明確になっています。




メインのメータ・パネルは、ダッシュボード・トリムをえぐった深い位置に配置されています。それ自体は、入念にデザインされた、クリーンで張り詰めた表面が特徴です。助手席側はきわめてミニマルで、標準的な助手席用ディスプレイが備わっています。このディスプレイが設けられたことにより、助手席の乗員は、コ・ドライバーに匹敵するレベルでドライビング体験を共有することができます。




296 GTBのインテリアには、フェラーリがSF90 Stradaleで初めて採用した、完全デジタル化インターフェースという新しいコンセプトに基づいたコックピットが開発されました。ただし、高度なテクノロジーを強調したSF90とは対照的に、296 GTBではテクノロジーを洗練された形で纏うことが哲学となっています。

その結果、ピュアでミニマルなニュアンスが誕生しました。スタートボタンを押すまでは計器類はブラック・アウトされた状態ですが、ボタンを押すとすべてのコンポーネントが息づきます。296 GTBが、輝かしいテクノロジーを非常にモダンで人間工学に基づいた完全なデジタル・インターフェースとして示します。また、フェラーリの哲学であるきわめてピュアな形状を示す例として、レザー・トリムに統合されたHUD(ヘッドアップ・ディスプレイ)が挙げられます。




296 GTBの開発では、純粋な性能の向上に加えて、ハイブリッド・レイアウトの使い勝手を向上させることに注力しました。自動車業界では世界初となる6ウェイシャシー・ダイナミック・センサー(6w-CDS)などの新しい部品が特別に開発されています。

シャシーの面では、これまでのフェラーリのミッドリヤ・エンジン搭載車に比べてホイールベースを50 mm短縮し、ダイナミックな俊敏性を実現しています。そのほか、ブレーキ・バイ・ワイヤ・システム、SF90に採用された「エアロ」ブレーキ・キャリパー、電動パワーステアリング、リヤ・アクティブ・エアロ・デバイス、SCM-Frs磁気粘性ダンパーなど、操作と性能を向上させるソリューションを採用しています。




250 Le Mansにインスパイアされた特別なカラーリングは、Assetto Fioranoパッケージを選択されたオーナー様のみがオーダーできます。フロント・ウイングからセンター・グリルに沿うようにデザインされ、そのエッジを強調しています。スタイリング・エレメントは、ボンネットに沿ってハンマーのモチーフを描き、ルーフに向かって縦に伸び、リヤ・スポイラーへと続いています。




SF90 Stradaleと同様、296 GTBでも、このクルマのパワーとパフォーマンス、特にサーキットでの走行性能を最大限に引き出したいというお客様のために、Assetto Fioranoパッケージが用意されています。このパッケージには、レース用に開発されたアジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバー、10 kgのダウンフォースを得ることができるカーボンファイバー製フロント・バンパー、Lexan®リヤ・スクリーンなどが含まれており、より多くの軽量素材を使用しています。また、ミシュランのSport Cup2Rハイパフォーマンス・タイヤも用意されているほか、250 Le Mansにインスパイアされた特別なカラーリングは、Assetto Fioranoパッケージを選択したオーナーのみがオーダーできます。