冬の時期を通じ、フェラーリはマラネッロでの風洞実験によってエフサンキュウキュウF399を完成させました。当時フル稼働を始めたこの風洞は、レンツォ・ピアノが新たに設計したものです。メルボルンで開催されたシーズン開幕戦のオーストラリアGPは、チャンピオンに君臨するマクラーレンが前方のグリッドを占めるかたちとなりました。残念ながら、ミハエル・シューマッハのシーズンは、前年度の最終戦と同じようなかたちで幕を開けています。クラッチトラブルによってエンジンがストールしたため、後方からのスタートを余儀なくされたのです。マクラーレンは一気に前に出たものの、わずか数周で次々にリタイヤしてしまいました。マクラーレンは一気に前に出たものの、わずか数周で次々にリタイヤしてしまいました。しかし、次のレースからは、ミカ・ハッキネンとミハエル・シューマッハの激しいバトルが見られるものと誰もが強く期待していました。しかし、次のレースからは、ミカ・ハッキネンとミハエル・シューマッハの激しいバトルが見られるものと誰もが強く期待していました。フィンランド人でマクラーレン・ドライバーのミカ・ハッキネンがブラジルで勝利を収めた一方、ドイツ人のミハエル・シューマッハは狂喜するファンを前にイモラで優勝するとモナコでも勝利し、フェラーリのワンツーフィニッシュに貢献しています。そして、7月11日にはシルバーストーンでイギリスGPが開催されました。2台のマクラーレンがスタートからリードし、その後ろをアーバインとシューマッハが追うという構図でレースが展開しました。そうした中、ジャック・ヴィルヌーブとアレックス・ザナルディがグリッド上でスタックしたことからレッドフラッグが振られました。しかし、前方を駆けるマシンはすでにストウコーナーに差し掛かかっていて、シューマッハはそこでアーバインに仕掛けようとしました。ところが、シューマッハはブレーキの故障に見舞われ、高速のままタイヤバリアに激突したのです。ミハエルは直ちにコックピットからの脱出を試みましたが、右足を動かすことができなかったためマシンにとどまりました。脛骨と腓骨を骨折し、彼はシーズンのタイトル争いから離脱することとなりました。そして、スクーデリアのリード・ドライバーとなったアーバインをクルサードが抑えてレースの勝者となりました。その時点でハッキネンが40ポイントを獲得してタイトル争いをリード。32ポイントを獲得していたシューマッハとアーバインがハッキネンを追っていました。

アーバインは自分の昇格によって刺激された様子でした。マクラーレンのマシンを駆る2名のドライバーの間にチームワークが欠如していたことも追い風となり、アーバインはオーストリアGPとドイツGPで勝利を収めています。さらに、シューマッハの代役として起用されたミカ・サロも、チームの成績に大きく貢献したのです。ハンガリーではハッキネンが再び勝利を収める中、アーバインは残り8周のところでコースアウトし、もう1台のマクラーレンを駆るクルサードに2位を許してしまいました。エディはランキング争いでトップを維持したものの、ハッキネンとの差は2ポイントでした。続く3戦でハッキネンとエディが、それぞれ8ポイントと4ポイントを獲得。獲得ポイントは少なかったものの、残りわずか2レースとなった時点でハッキネンが再びランキングのトップに立ったのです。 その後、シューマッハはマレーシアで復活を飾りました。彼はポールポジションを獲得すると、スタート直後にアーバインを先行させたうえで最終的にハッキネンを3位に抑えるなど、チームドライバーとしての役割を完璧に果た したのです。2週間後、アーバインの4ポイントリードで最終戦の日本GPを迎えると、フェラーリがマクラーレンからコンストラクターズタイトルを奪取します。エディにとって、レースはすぐさま厳しい展開となりました。北アイルランド出身のエディは悲惨にもコースアウトし、予選を不本意な結果で終わらせてしまったのです。シューマッハはポールポジションを獲ったものの、スタートでハッキネンにトップを奪われてしまいます。シューマッハとハッキネンとのタイム差はほんのわずかでしたが、シューマッハはアタックを成功させてアーバインをチャンピオンにさせることができませんでした。ハッキネンが世界チャンピオンに輝いた一方で、アーバインはフラストレーションを抱えたままとなりました。しかし、フェラーリは長年待ち望んでいたコンストラクターズタイトルを獲得したのです。それはスクーデリアにとって9度目のタイトルでしたが、タイトル獲得はその後も数年間にわたって続きました。

1999年の傑作