一瞥しただけで従来の GT スポーツ・カー・コンセプトを覆し、自動車界に真の改革を浴びせる 4 シーター・モデル。ピニンファリーナの手による FF の流麗なスタイリングは、一瞥しただけで従来の GT スポーツ・カー・コンセプトを覆し、自動車界に真の改革を浴びせる 4 シーター・モデルであることを雄弁に物語る。走り出そう - 天候や路面を気にすることなく、いつでも、どこへでも。 FF がどれだけ革新的であるのか、直感的に感じ取ることができるだろう。エレガントで美しく、魂に響く芸術品のような車輌。 FF の魅力は洗練された美しさだけではない。手強く複雑で、アグレッシブなドライビング・スピリットを満たす特別なデザインも忘れてはいない。これは妥協を許さない、見識あるドライバーだけが求める挑戦である。
従来のフロント・エンジン車輌に搭載された 4 輪駆動システムとは異なり、ドライブ・シャフトを介してリアのトランスアクスルを駆動するという伝統的なフロント・ミッドシップ・エンジン車輌のレイアウトを保持しています。
これに加えてフロントアクスル上に配置された新 PTU パワートランスファー・ユニット(動力伝達装置)が、適宜エンジン・パワーをフロントアクスルに伝達します。
このレイアウトの採用によって:
・ 従来の 4 輪駆動システムと比べて 50 パーセント の軽量化。これは FF のパワーウェイトレシオに大きく貢献し、パフォーマンスの向上を図っている。
・ 低重心を保ったまま、フェラーリの特徴でもある重量配分(フロント・エンジン車輌であるにも関わらず 50 パーセント 以上をリアアクスルに配分)を実現している。
PTU は 4RM の主要なメカニカル・コンポーネントであり、エンジンと 4 輪の回転スピードをコントロール。
また、基本的にフロントへのトルク配分を制御、必要に応じて左右への分配も制御します。 PTU へは、ギアボックス・レシオのシステムを介して、直接クランクシャフトから出力とトルクが送られます。
独立した 2 つのカーボン・ファイバー製湿式多板クラッチが、そこからフロント・ホイールに結合されたそれぞれのドライブ・シャフトにトルクを伝えます。このように、リアとフロントのアクスルは機械的に結合されておらず、それぞれ独立した 2 つのトラクション・システムに繋がっています。
これにより FF は後輪駆動のみの走行も可能で、従来からのフロント V12 気筒モデルが持つ特有のドライビング・プレジャーを一切そこなうことはありません。
最後に、多板クラッチはフロントとリアのホイール回転差を吸収します。フロントアクスルは従来の 4 輪駆動システムのセンターデフおよびフロントデフの役割を果たすことができます。
さらに、フロント・クラッチは完全に独立し、左右のフロント・ホイールに異なるトルクを送る役割を果たしています。伝達されるトルクは個々のクラッチでディスクを閉じることでコントロールされています。
PTU はまた、とても軽量、コンパクトで(全長わずか 170 mm )です。結果として 4RM システムの重量は、従来の4輪駆動システムと比較して50%減を達成しているのです。
ギアとクラッチの油圧制御システムは、 F1 デュアルクラッチ・ギアボックスと共に PTU に統合することで、ギア・シフト・タイム短縮とシステムの応答速度の改善を図っています。
フェラーリならではの高いスポーツ性能はもちろんのこと、多彩な最新テクノロジーによって、快適かつ扱いやすいモデルに仕上がっています。まず、フロント・ミッドに搭載されるまったく新しい V 型 12 気筒エンジンは、これまでにないパフォーマンスを発揮します。排気量は 6,262 cc 、直噴で、最大出力 660 CV /8,000 rpm、リッターあたり 105 CV ( 77kW /cu in )を発揮。パワーウェイトレシオは 2.7 kg /CV です。
最大トルクも683Nm /6,000 rpmを誇り、しかも 1,000 rpmから 8,000 rpm という幅広い回転域で500 Nmを発揮します。これはほとんど全回転域といってよく、これによりかつてないほどの万能性を実現しています。
この凄まじい実力は、多くの最新技術によってもたらされたものです。高圧縮比の GDI ( 200 バール)と独立したインジェクション・コントロールが、燃料を完全に霧化し、 8,000 rpm まで、最適な空燃比を実現します。 FF に搭載するエンジンの 12.3 対 1 という圧縮比は、このクラスの車輌としては異例に高いものです。バルブシステムはピストンの上下運動よって生じる横方向の過流(スワール)の乱れによるロスと圧縮低下を防止します。 ピストン、ピストンリング、カムシャフトには最新の素材を採用、フリクション・ロスを最小限に抑えます。
また、 FF は燃料のイオン化を図る燃焼コントロール・システムを採用しています。これにより、燃焼速度を早め、エンジンの出力が向上する一方、燃料の完全燃焼によって、こういったキャラクターの車輌では達成できなかったレベルまで、燃費と CO2 を削減しました。
これらの結果は、様々な革新的技術によってもたらされました。「 HELE 」(ハイ・エモーション/ロー・エミッション)の導入をはじめ、短時間の停止でもエンジンを切り、わずか 230 ミリ秒で始動する「ストップ & ゴー・システム」、最適化されたブレーキ、「インテリジェント・エンジン・ファン・コントロール」、「コンスタント燃料ポンプ容量コントロール」、そして「電子式エア・コンディショニング・コンプレッサー容量制御」などが含まれます。
これらのすべての解決策によって、燃費は 100 km あたり 15.4 リッター、 CO2 排出量は 360 g /km となり、従来の V 型 12 気筒を搭載するフェラーリと比べて 25 パーセントも向上しています。
エンジンのジオメトリーや素材もまた進化しています。調和した吸/排気音は、キャビン内の快適な音響システムに影響を及ぼすことなく究極のスポーツ・カー・サウンドを奏でます。吸気音はフィルター・ケーシングを介してキャビンに届くため、ドライバーとパッセンジャーの耳には、 FF のエンジン・サウンドが魅惑的なまでにクリアかつパワフルに響きます。
このフェラーリ・オーケストラが奏でる V12 サウンドは、どのような速度域、条件下でもご堪能いただけます。また車外で、目の前を駆け抜ける FF のエグゾースト・ノートを耳にすれば、誰しもがフェラーリ・サウンドであることを認識するでしょう。そこに不快感など微塵もありません。ノイズではなく、音楽なのですから。
フェラーリ特許の新軽量 4RM ( 4 輪駆動)によって、オーナーはどのような地域、状況下でも、そのパワーと洗練された安定性能をご堪能いただけます。F1 デュアルクラッチ・ギアボックスは、シーケンシャル・ギアボックによる純粋なドライビング・プレジャーと、オートマチックの快適さを合わせ持っています。ギア・シフトに要するタイムロスはゼロとなり、マニュアル・ギアボックスや電子制御式ギアボックスなどで発生する加速時のギャップは完全に排除されました。
進化した E-Diff はギアボックスケーシング内に装備され、車輌の重量低減に寄与しています。
E-Diff および F1-Trac と CPU が統合したフェラーリ初の 4 輪駆動システムは、どのような路面でも瞬時にグリップ力を算出し、完璧なドライバビリティとハンドリングを保証します。コンディションの悪い、後輪駆動だけでは十分なパワーを伝えることができないような路面でも同様です。非常に滑りやすい凍結路や雪に覆われた道。頻度にドライバーはこういった場面に遭遇していることでしょう。
この進化した GT マネッティーノは、第 3 世代のフェラーリ磁性流体サスペンション・システム、 SCM3 も制御します。ダンパー内で電子的に発生させた磁気の変化によってダンパーの粘度をコントロールするシステムです。
制御のためのソフトウェアが、 1,000 分の 1 秒単位で磁場の強さを調整します。この SCM3 によって、従来のショックアブソーバーと比べて 5 倍の速さでダンパーが機能(車輌の動きの抑制・収束)します。
また FF の ABS /EBDと呼ばれるアンチロック・ブレーキ システムは、 4 輪それぞれを個別に制御します。 ESC (電子式スタビリティー・コントロール)もまた、ブレーキング中には 4 輪を個別に制御します。その一方で E-Diff が左右のリア・タイヤにトルクを分配し、レーシング・マシンからフィードバックされた F1-Trac トラクションコントロール・システムがリアアクスルを制御します。最後に、 4RM コントロールが F1-Trac 、 E-Diff 、そして PTU の制御要素を統合して機能します。このように、すべてのシステムがシームレスに統合制御されることによって、独立した 4 輪すべてに対して常に最適なトルクを配分してトラクションと安定性を得ているのです。
4RM コントロールは、予測理論を取り込んだソフトウェアによって、瞬時にグリップ力を推測しています。これは FF に初めて搭載されたシステムで、予測されるすべてのドライビング・コンディション(凍結路から乾いたサーキット路面まで)をカバーするものです。グリップ力の予測システムは、当初モーター・スポーツで開発・導入され、その後、ロード・カーにフィードバックされたものです。この技術は F1-Trac システムにも採用されており、 FF が瞬時に、そして正確に、 4 輪それぞれがホイール・スピンすることなく路面に伝達可能な最大トルクを算出します。このシステムによって 4 つのタイヤそれぞれに常に最大のトルクを配分することで、 4RM コントロールは路面状況を問わずに常に最大のトラクションを保証することが可能となりました。
4RM コントロールは原則として、その路面のグリップ状況下で、リアアクスルが空転してしまうような大きなトルクをドライバーが要求する場合など、どうしても必要なときに限りフロントアクスルにトルクを配分します。また、特定のグリップ状況下において、リアアクスルが伝達可能な最大トルクよりも少ないトルクをドライバーが求めるような場合、 F1-Trac はリア・ホイールのみにトルクを伝達し、トラクションを制御します。
同時に E-Diff が、シチュエーションに応じて、リアの左右輪に最適なトルクを分配します。例えばコーナー脱出時におけるディファレンシャルの差動(スリップ)は一定の範囲内に収まるよう制御します。これは 458 イタリアですでに採用されているシステムです。
リアアクスルの許容を超えるトルクをドライバーが要求した場合は、4RMコントロールによってそれ以上のトルクはPTUを通じてフロントアクスルに配分されます。
4RMコントロールは右前輪と左前輪それぞれ個別に最適なトルクを分配します。
これは、FFの重量配分やF1-Trac、そしてE-Diffコントロールだけではドライバーが要求するトルクを受け止めきれないときにだけ、フロント・ホイールが駆動するということです。たとえば、極端に路面のグリップが低い状況下で、ドライバーがそれでもパフォーマンスドライビングを車輌に要求しているような場合です。 4RM コントロールには、想定される使用条件に合わせて、様々な低ミュー路、極端にミューの低い雪上路面などのために開発した多彩なロジックが組み込まれています。
グリップの低いコンディションでのコーナー脱出時にアクセルを踏み込んだとき、 F1-Trac 、 E-Diff 、 PTU が連携して稼動し、 4 輪個別に最大のトルクを配分し、パフォーマンスを維持します。しかもフロントへのトルク配分は、徐々に、ゆるやかにバランスを最優先して行われるため、最大のスタビリティを保証します。
このシステムはまた、アンダーステアやオーバーステアの状態をはじめ、さまざまなグリップ状態を的確に認知し、 4 輪へのトルク配分を調整して瞬時にこれを修正します。繰り返しになりますが、これによっていかなる状況においても最大限の安定性能を保証します。
4RM コントロールは、低ミュー路や極端に低いミューの雪上路面などに合わせたハイパフォーマンス・スタート・ロジックを装備、これがパフォーマンス・ローンチに統合され、すべてのマネッティーノ・ポジションで有効となります。 4 つのタイヤがそれぞれ受け止めることができる最大グリップを判断し、それに応じた最大トルクを配分してホイール・スピンをさせることなく 4 輪を駆動します。どのようなグリップ状態でも、ホイール・スピンさせることなくスムーズに最大限の加速性能を発揮します。これは通常の四輪駆動システムが静止状態からのスタート時、ディファレンシャルをロックしてホイール・スピンを防ぐのとは根本的に異なるシステムです。
このように 4RM コントロールは、ホイールへのトルクを再配分しますが、ライバル・メーカーが採用しているシステムのようにブレーキとして機能することはありません。その結果、路面状況を問わずパフォーマンスは最適化され、最大のトルクを得ることで加速性能に貢献しています。
限界域でのよりすぐれた安定性能、ハンドリング、そしてコントロール性能と同時に、たとえ雪の傾斜地であっても高いスタート性能を発揮できるのです。
ブレーキもまた非常に知的な方法で制御されています。フェラーリ Pre-Fill ロジックは、ドライバーがアクセルペダルから足を離すと同時にキャリパー内のピストンを作動させます。
その結果、ブレーキの応答性能を高め、停止距離を短縮すると同時にタッチ・フィールも向上。一方でブレーキの引きずりを低減することで燃費の向上に貢献します。 新設計された FF のサスペンション・システムは、フロントに伝統的なダブルウィッシュボーン(ロワは L アーム)、リアにはより高い機能性能を備えたマルチリンク・システムを採用しています。
横方向および縦方向の剛性を 20 パーセント 向上させ、ハンドリングとスポーツ・ドライビングのフィーリングを強調しています。優れたレスポンスと、反応速度を 20 パーセント 高めたダイレクトなステアリング・レシオ、そして最小限にまで抑えたボディ・ロール。上下方向の柔軟性は 3 倍に高められ、ノイズの低減とあわせて、バンプでのより優れた減衰と突き上げの低減を実現しています。FF は第 3 世代のブレンボ製カーボン・セラミック素材( CCM )ブレーキを搭載する初のフェラーリです。
何よりも革新的なのはこの新素材をパッドに採用することにより、ブレーキディスクを 10 パーセント小径化することができました。もちろん性能を「保ったまま」ではなく「向上させつつ」です。
その結果、ブレーキ・キャリパーとディスクのフリクション係数はより向上、かつ安定し、ストレスに対しての耐性も上がりました。これらの要因により、軽量で強力、耐フェード性に優れ、しかもメンテナンス・コストを抑えたブレーキが実現しました。もちろん制動距離も短縮されました。ブレーキ・パッドは従来型と比較して 7 ~ 8 倍長持ちします。これは、通常の使用状況であれば車輌のライフ・サイクルを通じて交換の必要のない数値です。r maintenance costs, and shorter stopping distances. The brake pads now also last seven to eight times longer than those of the previous generation which means that they will probably never need to be replaced in the car’s lifetime under normal conditions.
ピニンファリーナの手によるFFのスタイリングは、あらゆる意味において斬新です。
ピニンファリーナの手によるFFのスタイリングは、あらゆる意味において斬新です。モダンで革新的、未来的、そして圧倒的にエレガント――FFのデザインは空気力学的な制約とデザイン・ルールの完璧な融合と言えるでしょう。しかし、詳細に観察するとFFの深い部分で他の車輌と異なるフェラーリのDNAを継承する特徴を見ることができます。
これはFFがプランシングホースの伝統に沿ったラインでデザインされているというだけでなく、過去を断ち切ったその革新性にもよるものです。
革命、またある人はそれを次なるミレニアム・トレンドへ向けての近代性の発展、自動車史に残るデザインの創造と呼ぶでしょう。
そしてまたFFのスタイリングはクラシックでもあります。この新しいプランシングホースは見事な流線型に包まれていますが、控えめながらフォルムに力感をハイライトする彫刻的なラインも有しています。コンパクトさ、絶妙なオーバーハング、柔らかく丸みを帯びたフォルム、そして印象に残る彫刻的なラインを合わせ持っているのです。
まるで未来と過去の一体化によって実現したような史上最上のものが、この4シーター・モデルのユニークな構造とデザインに息づいているのです。FFは、いかなる天候や路面状態にも対応するスポーティー車輌として誕生したモデルです。
実際、滑らかでエレガントなデザインへの欲求は、この車輌の途方もない空気力学的効率の重要な要素でした。シミュレーションと風ウィンド・トンネル実験によって車輌の外部、内部の空気の流れを最適化し、FFの動力・駆動系を可能な限り効率的に冷却しつつ、最先端の低抗力、高ダウンフォースの値を実現しているのです。
この車輌の空気力学的効率は、抗力効率を示すCD値(0.329)とダウンフォース効率を示すCL値(0.200)の比率0.608というこのクラスの車輌で最高の数値データによっても証明されています。
エンジンルームに導かれた空気を排出するサイドベントは、滑らかな曲線美溢れるボディ側面にアグレッシブな魅力を添えています。また、外部構造は流線型に仕上げられたエアロフォルムを採用しています。
この車輌のフォルムと力感はミニマリズム、最小限主義のコンセプトによって方向付けられたものですが、エンジニアは常に機能を念頭に置きながら、細部まで入念に削ぎ落とすことで、この魅惑的でアグレッシブなラインを創り上げたのです。車体側面の空気の流れは、テールライト周りの曲線に沿って、ルーフと低抵抗を保証するノールダー上に流れる気流へと誘導されます。
特に車両後部については、入念な空気力学的な解析とウィンド・トンエル実験が繰り返し実施されました。
リア・ランプ横のエア・ベントはホイールアーチ周辺の風圧を低減するとともに、ベースブリード効果によって乱流の発生を制御します。バンパーに設けられた2つの空気排出口は車輌側面に沿った空気の流れを狙ったポイントで分割して乱流のサイズと減圧を最小限に抑える働きをします。
リアディフューザーはアンダーボディを流れる空気の排出を最適に保持しますが、ここには3つの経路と2つの新機構が設けられています。ひとつはエアロフォイルと呼ばれる翼で、センター・チャネルに設けた微細なカーブが車体後部からの空気の排出量を増大させ、ダウンフォース量を増加させます。
もうひとつの新機構はサイド・チャネルに設けられた凹状のカーブで、負圧エリアをアンダートレイの全幅にわたって形成されるべく設計されたものです。さらにまったくの新機構として採用されたのはFFのシャシーで、コクピットの高い快適性とスペース効率、そしてさらなる安全基準(2015年)を満たすべく設計されています。この技術は新世代シャシーの新たな基準となっています。
シャシーは基本的にはスペースフレーム構造ですが、近年のフェラーリ車同様に、素材はアルミニウムを採用しています。異なる合金を適所に採用することで部材のメリットを最大限に生かし、性能と重量、両面での改善を図っています。また、構造体の剛性向上と軽量化のために中空キャストによる接合法も導入しました。
新シャシーのデザインはボディーワークとも密接に関連して進められ、各パートにおける部品点数を最小に抑えることに成功しています。ボディシェルの構造部材は主に押し出し成型と鋳造成型によって構成されています。この結果、FFのシャシーは前世代シャシーと比較して10 % 軽く、ねじり剛性は6 % 向上しています。
FFのコクピットは比類のない魅力であふれています。この上なく快適で刺激的。エレガントで、洗練されたトリムやディテールによって、精緻な高級感を生み出しています。
FF は同セグメントの車輌の中でも最良のコクピット・スペースを備え、体を包み込む 4 つのシートによって同乗者を快適にもてなします。このシートは 4 名の乗員すべてに、室内のアクセサリーと同等の、質の高い乗り心地と乗降のしやすさを提供します。
トランク容量はこの手の車輌としては先例のない 450 リットル。しかもこれは通常の状態で、左右個別に折りたたむことが可能な 2 つのリア・シートを倒すと 800 リットルまで拡大するという高い機能性を備えています。たとえば 4 名乗車ならば標準サイズのトローリー・ケース 4 つとゴルフ・バッグ 2 個、または折りたたみ式のベビーカーを積むことができます。
またリア・シートの中央部をたためば長尺物、例えば大型のゴルフ・バッグやスキー・セット 2 つを積むこともできます。言葉を変えれば、完璧な快適性を保ちつつ、大人 4 名が週末の長距離旅行を楽しむことができるということです。
それでいて、リア・シートを 1 つ、あるいは 2 つ倒せば、オーナーは簡単に広大なラゲッジ・スペースを得ることができるのです。 2 名乗車であれば、 1 カ月におよぶ長期旅行ですら簡単に楽しむだけの多彩な機能を備えているのです。この 2 シーター状態での FF は、想像できるほとんどの趣味やレジャーに必要な道具を搭載することができるでしょう。たとえば 2 名分のダイビング・ギアをフルセット、セイリング・キットなどです。
これほど利便性の高い車輌が他にあるでしょうか。フロント・シートは 195 cm 、あるいはそれ以上の身長高い乗員にも対応し、リア・シートも身長 185 cm の方まで対応します。しかも自宅のラウンジにいるような快適さを備えているのです。
しかも自宅のラウンジにいるような快適さを備えているのです。暖炉の火を眺めながら快適な椅子に座っているのと大きく違うのは、 335 km /h で移動しながらその快適さを味わうことができるということです。 FF はドライバーと同乗者に、自宅にいるような快適さを提供するモデルなのです。
コクピットには細かい収納スペースも揃っています。トータル容量 20 リットル以上となるこれらのスペースは、長い旅行で同乗者が持ち込む可能性の高い小物の収納にとても便利です。
さらなる快適のための装備として、デュアルゾーン・エアコンディショナーがあります。 4 名の同乗者はそれぞれ個別のエア・コンディショナー噴出し口にて、自由に空調設定していただけます。 もうひとつ初めてのこととして、フロントの助手席に座る方は、オプション設定のエモーション・ディスプレイ・スクリーンで刺激的なドライビング・エクスペリエンスをご堪能いただけます。ドライバー席のインストゥルメントパネルのように、このスクリーンは車輌の速度やエンジン回転数、使用中のギア、目的地までの時間や距離、平均スピード、それまでに記録した最高速度、選択中のマネッティーノ・セッティングなどの情報を表示します。
このオプションを選択された場合、所定の場所に装備したディスプレイにはスマートフォンの充電機器、オンボード・インフォメーション・システム用のマルチメディアデバイスを接続するための USB コネクターが設けられています。
リア・シートのインフォテイメント・システムはリモート・コントロール機能を備えたワイヤレス・ヘッドセット 2 組、 6 連奏 DVD プレーヤー、デジタル地上波 TV チューナー、外部機器用オーディオ/ビデオ入力端子などが備わっています。標準でも 640 W 、 9 チャンネル・アンプの十分なステレオ・システムを搭載していますが、これをさらに 1,280 W 、 16 チャンネルのクアンタムロジック®・サラウンド・サウンドシステムにアップ・グレードすることも可能です。
それぞれが独立した、ホールド性の高いシートは大人 4 名を楽々と受け入れ、各自が同じゆったりとしたスペースで個別に快適装備をお楽しみいただけます。フロント・シートは電動式で、サイドおよび腰部のコントロールによって簡単に異なる体型、好みのドライビング・ポジションにアジャストすることができ、このセッティングは記憶されます。また、 3 段階の温度調整が可能なシート・ヒーターに加えてベンチレーションも備えています。
マラネッロのエンジニアの長年にわたる調査や、フェラーリのサーキットでの経験とそこでのドライバーとの対話が、プランシング・ホースを地球上のウィナーとさせたのです。 FF にもその比類ない知識と経験が生かされており、個々のディテールを改善するだけでなく、それらを人間工学的に結びつけ、ドライバーが完璧にリラックスできるように仕上げているのです。たとえ休日のちょっとした走行でも、サーキットでラップ・タイムの短縮を図ろうとしているときでも、それは変わりません。それこそが、フェラーリがヒューマン・マシン・インターフェイスと呼ぶ、労力を極力取り除いた上で人とクルマが融合するということなのです。
どのような条件下であれ、ドライバーのわずかな一操作に反応する車輌全体の機能的なデータが瞬時に目に、手に伝わるのです。 事実、ステアリング・ホイール上に、人間工学的に設置されたオンボード・コントロールは、まるでドライバーの体の一部のように扱うことが可能です。シフト・チェンジや車輌のシステムを調整する際にも、ステアリングから手を離す必要はありません。
ステアリング・ホイールには、シチュエーションに合わせて 5 つの走行モードを選択できるマネッティーノに加えて、エンジンスタート・ボタン、インジケーター、2つのF1ギアシフティング・パドル(アップとダウン)、マネッティーノの設定に関係なく荒れた路面に合わせてダンパー設定を柔らかく調整するためのサスペンション・デカプリング・ボタン、そしてワイパー・コントロールが配置されています。
新しいインストゥルメントパネルには、高解像度の 5 インチ・ディスプレイが 2 つ設置され、その間の中央にはギア・インジケーターと合わせて伝統的なレブ・カウンターが配されています。左側のディスプレイには主要な車輌状況を示すデータが、マネッティーノのセッティングによる制御の様子を示す VDA (ビークルダイナミック・アシスタンス)のアウトプットとともに表示されます。あわせてトリップ・コンピュータとパーキング・センサー情報もここに表示されます。また、右側のディスプレイはタキ・メーター(アナログとデジタルを選択可)、メインのインフォテインメント・データ、そしてフロントとリアのパーキング・モニターが表示されます。
ステアリング・ホイール左側にはドライバーの正面に配されたインストゥルメントパネルを操作するためのポッドがあります。 センター・コンソールには F1 パネルとダイナミック・コントロールがあります。これは雪や凍結を含めてどのような状況でもホイール・スピンすることなく最大限のトルクを送って最高のスタートを実現するためのローンチ・コントロール・ボタンや、リバース・ギア、それにミッションをオートマチックで制御するオート・スイッチがあります。
FF の新しいインフォテインメント・システムはマン・マシン・インターフェイスの進化の結果です。 6.5 インチの高解像度タッチパネル・ディスプレイ、オーディオ対応のブルートゥースにより、同乗者は自分のオーディオ機器からの音楽を車内に持ち込み、楽しむことができます。衛星ナビゲージョンの地図は 3D ビュー付で、音声ガイドもあります。 2 つの USB コネクター、そしてディスプレイには英数字のキー・パッド機能があり、電話をかけることも可能です。もちろん、新世代の iPod-iPhone に対応しています。
これらの機能は指先で触れるだけでなく、音声によっても動作します。ドライバーは簡単にシステムに電話をかけさせたり、予め設定した道順を選択させることも可能です。ディスプレイのグラフィックはユーザー・フレンドリーで瞬時に情報を読み取りやすいように再設計されています。これらのシステムにより、 FF は邸宅にいるような快適な空間をキャビンに創り上げたのです。ただし、邸宅と比べると少しだけスピードが出ていることを忘れないでください。ほんの少しだけですが……。