新しい物語が始まる
FERRARI ROMA SPIDER
FERRARI ROMA SPIDERは、タイムレスなエレガンスと優れたパフォーマンスを兼ね備えるモデルです。1950~60年代の喜びにあふれたシックなイタリアン・ライフスタイルを現代的に再解釈して生まれました。大成功を収めたFerrari Romaのプロポーション、フォルム、スペックを受け継いでいますが、このスパイダーで特に際立っているのがソフトトップの採用です。このソリューションを使うフロントエンジンモデルが跳ね馬のラインアップに復活するのは、1969年に発表の365 GTS4以来、実に54年ぶりのことです。
表示してある燃料消費量およびCO2排出量の値は、型式認証を受ける時点で適用されていた欧州規則(EC) 715/2007に基づいて算出されたものです。料消費量およびCO2排出量の値は、WLTPサイクルでテストした場合のものです。
乗用車を市場で販売するためには、規制適合を検証するための一連の試験を受ける必要があります。
燃費、CO2および公害物質排出が評価されるこの試験は、ラボで特定のドライビング・サイクルに基づいて実施されます。こうすることで、試験は再現可能となり、結果が比較可能になります。これは、消費者が異なる自動車のモデルを比較できるのは、標準化された再現可能な手順に基づいて実施されるラボでの試験のみであるため、重要です。
2017年9月1日に新たな国際調和排ガス・燃費試験(WLTP)が施行され、新欧州ドライビング・サイクル(NEDC)から段階的に移行されます。
NEDC(新欧州ドライビング・サイクル):NEDCは、乗用車および小型商用車の燃費およびCO2排出量を測定するために現在まで使用されてきた欧州ドライビング・サイクルです。最初の欧州ドライビング・サイクルは1970年に導入され、市街地走行と呼ばれました。1992年には、郊外モードが採用され、1997年以降燃費およびCO2排出量の測定に使用されるようになりました。ただし、このサイクルの構成は、現在の異なるタイプの道路でのドライビング・スタイルおよび走行距離と一致しなくなっています。NEDCの平均速度はわずか34 km/hで、加速も緩慢で、最高速度はわずか120 km/hです。
WLTP:WLTPは、新たな国際調和排ガス・燃費試験サイクル(WLTC)を使用して、乗用車および小型商用車の燃費、CO2および公害物質排出量を測定します。この新規制は、消費者に自動車の日常使用状況をより正確に反映した、より現実的なデータを提供することを狙いとしています。
この新たなWLTPは、より鋭い加速を伴う、よりダイナミックなドライビング・プロファイルが特徴です。最高速度は120 km/hから131.3 km/hに引き上げられ、平均速度は46.5 km/hとなり、合計サイクル時間は30分となっています(NEDCは20分)。走行距離は、11 kmから23.25 kmに倍増しています。WLTP試験は、最高速度に応じて、 低速(最高速度56.5 km/h)、中速(最高速度76.6 km/h)、高速(最高速度97.4 km/h)、最高速(最高速度131.3 km/h)の4つの区分で構成されます。これらの区分で、市街地、都市周辺、郊外の道路、および高速道路の各モードをシミュレーションします。この方法は、1台の車両の特性を反映しCO2排出量に影響するエアロダイナミクス、転がり抵抗および車両の質量に影響を与えるすべての車両オプションも対象となります。
WLTPは、段階的にNEDCを置き換えていきます。WLTPは、2017年9月1日以降、新型乗用車モデルに適用され、2018年9月1日以降に登録されるすべての新型乗用車に適用され、すべての欧州連合加盟国で義務付けられます。
2020年末までは、車両の書類にはWLTPおよびNEDC両方の燃費およびCO2排出量の数値が記載されます。実際に、2020年末まで、EUで登録される自動車の平均CO2排出量を評価するために、NEDCの値が使用されます。また、国によっては財政上の目的のために、継続してNEDCのデータを使用します。しかし、2021年以降、すべての自動車の燃費 / CO2排出量の数値として使用されるのは、WLTPのデータのみとなります。中古車はこの移行には影響されず、認証を受けたNEDC値を使用します。
乗用車の走行燃費と排出ガス
この新たなWLTP試験は、NEDC試験よりも現在の走行状態に近くなっていますが、ドライバー個人のドライビング・スタイルの影響など、すべてのケースを考慮することは不可能です。
よって、ラボで測定した燃費とCO2排出量の値と、実際に車両を使用した場合の値に差があります。この差は、オンボード・システム(エアコンなど)の使用、交通状況、地域固有の気候条件、およびドライバー個人などの条件によって異なります。
この理由から、車両および異なるモデルを公平に比較できる数値を得られるのは、標準化されたラボでの試験のみです。
お客様にとって変わること
この新たなWLTPは、より現実的なドライビング行動を反映し、個別のモデルおよびバージョンとオプション装備を含む個々の技術的特性を考慮するため、異なる車両モデルの燃費とCO2排出量を比較するためのより現実的な基準を提供します。
落ち着いたシンプルなフロントエンドは、まるで1個の金属の塊から削り出されたような印象で、突き出したシャークノーズを形成しています。フロントグリルは、パーフォレート加工を施した平面でエンジンの冷却エアを確保するという、新コンセプトを採用しています。フロントグリルの両端は、直線的なフルLEDヘッドライトへと流れ込み、これを水平に横切るDRLのラインが、車両全体に緊張感を与えています。
FERRARI ROMA SPIDERのソフトトップには、専用の素材が使われています。この特別なファブリックは、FERRARI ROMA SPIDERの2つの側面を強調して、ひとつはエレガントに、もうひとつはスポーティーになるよう、カラーコンビネーションを選び、織り方を開発しました。電動式ファブリック製ソフトトップは、リトラクタブル・ハードトップと同等の快適性が保証されています。ファブリックは5層構造で、風切り音やロードノイズを抑え、高速走行時でも静粛です。開発では、ソフトトップに特有のバルーン現象の抑制にも、特別な注意を払いました。
ソフトトップの稼働メカニズムは、軽量かつ強靱に設計されています。Z字型の動きを採用したことで、最高60 km/hで走行中も、わずか13.5秒でソフトトップが折りたたまれます。格納されたルーフが占める空間は、高さわずか220 mmで、同カテゴリー最小です。これによって、トランク容量がたっぷり確保されています(ルーフ展開時にクラストップの255リッター)。
FERRARI ROMA SPIDERは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるフェラーリ・スタイリング・センターがデザインを手がけました。この2+スパイダーの洗練されたファブリック製ソフトトップは、Ferrari Romaの優雅に流れるシルエットを変更せずに、その完璧なプロポーションをさらに強化するようデザインされています。
Ferrari FERRARI ROMA SPIDERのキャビンについて、フェラーリ・スタイリング・センターのデザイナーたちは、Ferrari Romaで採用した同じ手法で空間やフォルムを決めました。デュアル・コックピットのコンセプトを進化させて、ドライバー側とパッセンジャー側に別々の空間を作り出しています。デュアル・コックピットは、1970年代以降のフェラーリ歴代モデルに深く根ざしており、この理念をダッシュボードからキャビン全体に拡大したことで、革新的なルックスが生まれました。こうして、ドライバーとパッセンジャーを2個のモジュールで包み込んだ印象となり、それを2つの後席にも拡大して、一体感を作り出しています。
ステアリング・ホイール上のHMIは、スポークにタッチコントロールを装備したFerrari Romaから、いっそう磨きがかかり、洗練されました。左スポークには、各タッチコントロールを示す刻み目が付いています。右スポークのタッチパッドも進化し、刻み目が付いてスワイプしやすくなりました。こうしたソリューションによって、ドライバーはどこに操作ボタンがあるか分かり、フェラーリが採用している「視線は路上に、手はステアリング・ホイールに」の理念を実現させています。
FERRARI ROMA SPIDERのエンジンは、「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を4年連続で獲得し、2018年に「過去20年で最も優れたエンジン」にも選ばれているV8ターボのファミリーに属します。3,855 ccのパワーユニットは、7,500 rpmで最高出力620 cvを叩き出し、比出力は161 cv/Lに達します。これに加えて、わずか1,900 rpmから最大トルクの80%を発揮するため、低回転域でもフレキシブルなピックアップが実現しています。
FERRARI ROMA SPIDERは、停車せずに展開できる特許取得のウィンド・ディフレクターを装備します。ウィンド・ディフレクターを稼働させたいときは、センタートンネルにあるボタンを押すだけで、(後席乗員がいない場合)リアシートのバックレストが回転してポジションを取ります。すると、乗員の周囲には空気が静止した空間ができ、長身のドライバーでも、以前の2+スパイダーに比べて、頭部周囲の乱流の抑制効果が約30%向上しました。
ウィンド・ディフレクターの展開時に使用するガス・スプリングは、展開中のどの段階でも、あらゆる状況下で、制御されたスムーズな動きとなるよう開発されました。ウィンド・ディフレクターは最高170 km/hまで展開でき、安全に展開できるよう、車速で電子的に制限されます。ウィンド・ディフレクターは、いったん展開されれば、どんな車速でも使用可能です。
ウィンド・ディフレクターは、通常のバックレストの機能をすべて備えています。後席の乗員が体を預ける部分には、快適になるようパッドが入っていますが、フロントシートが後方に下がっていても展開できる形状です。中央のダクトは、両側に作用する気圧を相殺し、ディフレクターの動作の効率性を引き上げています。
フロント・ダウンフォースの増加は、その大部分が、このモデル専用に最適化されている1組のボルテックス・ジェネレーターによってもたらされました。そのエリアに強力なボルテックスを集中的に発生させて、グラウンド・エフェクトを作り出すと同時に、フロントタイヤからの後流を整えて、極めて効率的にダウンフォースを発生させます。
FERRARI ROMA SPIDERでは、ボディワークの変更によって、可動スポイラーにも新たなジオメトリーが必要となりました。そのデザインは、このモデルのスタイリングと新たなルーフラインに合わせて、緻密に磨き上げられました。スポイラーは、ボディに作用する加速度や車速に応じて展開・格納されますが、スパイダー特有のキャリブレーションが施されています。そのため、ロー・ドラッグ(LD)、ミディアム・ダウンフォース(MD)、ハイ・ダウンフォース(HD)の3種類のポジションは、ルーフオープン時の走行に特別に合わせたものとなっています。こうして、FERRARI ROMA SPIDERは高度なハンドリングを要する状況でも高速走行時にも、Ferrari Romaに匹敵するダウンフォースを発生し、同じドライビングの興奮を実現します。
車速が100 km/hに達するまで、スポイラーはロー・ドラッグのポジションを取ります。300 km/h超ではスポイラーはMDモードです。そうした状況下では高い車両バランスが求められるからです。ダウンフォースがパフォーマンスを左右する中心的役割を果たす速度域では、スポイラーはMDポジションを取り、車両の前後・左右の加速度に応じて、HDポジションに変わります。閾値は変動し、マネッティーノのポジションとリンクしています。
ミディアム・ダウンフォース(MD)モードでは、可動エレメントはリアスクリーンに対して150°の角度を取ります。この位置では、最大ダウンフォースの約30%を発生します。ハイパフォーマンスのハンドリングが求められる状況では、可動エレメントは自動的にHDポジションに動きます。リアスクリーンに対して135°の角度となり、250 km/hで約95 kgのダウンフォースを発生しますが、ドラッグの増加はわずか4%に留まります。
ファブリック製ソフトトップの採用と、それによって間接的な影響を受けたボディワークのジオメトリーが、FERRARI ROMA SPIDERのエアロダイナミクス開発の出発点となりました。Ferrari Romaの低ドラッグは変えずに、ダウンフォースを効率的に発生する能力を組み合わせるため、ルーフのラインと前後方向のカーブは、徹底的なCFD解析を行って決められました。
Ferrari FERRARI ROMA SPIDERのビークル・ダイナミクスの開発目標は、Ferrari Romaに匹敵する走りの興奮とハンドリングの正確性を実現することでした。これに貢献しているのがサイドスリップ・コントロールで、フェラーリが開発したアルゴリズムを使ってサイドスリップを瞬時に予測し、搭載する様々な制御システムすべてに伝達します。このデータを活用して、迅速かつ正確な介入が適切なタイミングで協調して行われます。
サイドスリップ・コントロール(SSC)システムのバージョン6.0は、車両のビークル・ダイナミクス・システムをすべて統合します。その中でも特筆すべきなのがフェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDA)で、マネッティーノの「Race」ポジションでのみ作動します。FDAは、横方向のダイナミクス制御システムで、制御を必要とする動的状況に合わせて、4輪すべてのブレーキキャリパーで油圧によるブレーキ圧を素早く調整します。これによって、コーナリングから立ち上がりまで、横方向のダイナミクスの変化が予測しやすくなります。