456MにはGTと、ATを備えるGTAの2バージョンがあります。フェラーリ伝統の2+2モデルはこれまでも大きな成功を収めており、456Mはその進化版となります。1992年に発表された456GTは、21世紀を見据えて設計された最初のフェラーリ。サルーンに匹敵する快適で広いキャビンと、クラスのトップを行くパフォーマンスとを両立させたことで、マラネロの顧客から高い評価を得ました。
4人の大人が寛ぐことができるクーペとして企画された456 GTは、FRレイアウトに回帰したフェラーリという側面あります。ギアボックスとリアデフが一体化されることで、理想的な前後重量配分を実現したばかりか、広々したキャビンとトランクを実現しています。
6 速 + リバースのマニュアル ギア・ボックスを備えた 456M の GT バージョンは、フェラーリ伝統の 4 シーター(2 + 2)で、幅広い用途に使える利便性を維持しながらも、正統なフェラーリを求めるオーナーにとりわけ人気がありました。
ピニンファリーナがデザインした 456M GT は、 5474 cc V12 エンジンの強大なパフォーマンスと GT としての快適な居住性を両立させています。また、フロント・エンジンとリア ギア・ボックスは、キャビン・スペースの確保と操縦性、安全性の両立を実現するという観点から最も理にかなったものです。
クリアなフロント・デザインとリア・バンパーに取り付けられたリトラクタブル・ウイングには、エアロダイナミクスに対する細心の注意が払われました。フロント・アクスル ライフは、リア・デフューザーに施されたのと同様、特殊な形状のフロント・バンパー スポイラーとボンネットによって最適化されました。
456M GT は、チューブラー式スチール製シャシーで、このシャシーにはフェランとして知られる特別なホイールが使われており、アルミニウム・パネルがスポット溶接されています。これはシャシーがアルミニウムの軽量とスチールの剛性の両面を併せ持っている事を意味します。軽量化のためにフロント・ボンネットはカーボン・ファイバーとなっています。
4 シーターのキャビンはコノリー レザー・トリムで、シートはポジション・メモリ機構付きの電子制御調整式。計器類は複数のゲージからなるアナログ式。また、 456M GTは全自動空調システム、ソーラー・ラジエーション センサー、そしてステレオ・システムを備えています。
チューブラー式スチール製スペースフレーム・シャシーは、スタビライザーアームとアンチダイブ・ジオメトリーのダブル・ウィッシュボーンを備えた四輪独立式サスペンションと連結されています。電子制御式ガスダンパーには 2 通りのセッティングが可能で、サーボトロニック・パワーアシスト付きステアリングはラック&ピニオン式、ブレーキはABSとリア・ブレーキ コレクター付きベンチレーテッド・ディスク式。またこのクルマは最もトリッキーなコンディションで強力に安全性を改善するアンチスキッド・システムとリンクした ASR トラクション・コントロール・システムをも備えています。
442 馬力の 5474 cc 65° V12 エンジンはフロントに縦置きされ、 1 気筒あたり 4 バルブとツイン オーバーヘッド・カムを備えています。エンジンのマネージメント・システムはボッシュ製 5.2 。乾式シングルプレート・クラッチとドライサンプ式潤滑システムも備えています。
456M GT は、 6 速 + リバースの機械式ギア・ボックスを備えています。