365 GT 2+2は1967年のパリ・サロンに初めて展示されました。500スーパーファストの後継車であり、250 GTE と330 GT 2+2の伝統を守るモデルでした。エレガントにして堂々たるラインからなる365 GT 2+2は、アメリカ仕様ではパワーステアリングとエアコンを標準装備する初のフェラーリであり、広々したラゲッジコンパートメントと2人の大人が楽に座れる後席を備えていました。
365GT2+2は1967年のパリ・サロンでデビューしました。330GT2+2の後継車で、1971年序盤までの3年あまりにわたって生産されます。ピニンファリーナがデザインし、そのファクトリーで組み立てられ、内装の取り付けまで完了した状態でフェラーリに送られ、フェラーリがメカニカルコンポーネントを組み込みました。
365GT2+2のフロントは365カリフォルニアのフロントに似ていると言われます。ただしコーナーバンパーは大きく、このモデルの専用パーツである車幅灯/方向指示器のアッセンブリーをバンパー前面に内蔵していました。黒いプラスチック製のエンジン熱気抜きルーバーがボンネット後端にある、スカットル両端部に位置します。
5グラスのキャビンプロファイルは330GT2+2より長くなっています。キャビンからのラインは浅い傾斜角でリアウィンドウに至り、そのリアウィンドウはほぼフラットなトランクリッドに流れ込み、スクエアなカムテールで終わります。
テールパネルには1組のクロームメッキを施した角形ベゼルが備わり、なかに3つの丸形レンズアッセンブリーが横に並んで収まります。そしてその下に全幅にわたるクロームメッキのバンパーが走っています。
リアサスペンションに備わる、コニと共同開発の油圧制御のセルフレベリング装置は、荷重を問わず秀逸なロードホールディングを保証するものです。1967年から1971年までにおよそ800台が生産されています。
365GT2+2のホイールベースは330GT2+2と同じでしたが、エレガントなボディは広く低く、一回り大柄に見えました。その理由は前後のオーバーハングが伸びたためで、このため全長も160mm以上長くなっています。当初はシリーズ2 330GT2+2と同じ10穴の軽合金ホイールを履いていましたが、後に星形5本スポークに変わります。
生産期間を通じてボラーニ製ワイアホイールがオプションで用意されていました。ホイールのデザインが変わった時期と相前後して、フェンダーのえぐられた部分の奥深くに位置したヘッドライトの位置はそのままに、プレキシグラス製カバーが装着されなくなっています。
ボディはホイールベース2650mmのティーポ591シャシー上に構築され、すべてロードカー用の奇数のシャシーナンバーが打刻されました。330GT2+2と同様な方法で作られており、2本の大口径楕円チューブが縦方向に走り、この2本を頑丈なクロスメンバーが繋ぐとともに、メインフレームにサブアッセンブリーが溶接され、それがボディと補機類を支持します。このモデルの新機軸はリア独立サスペンションにセルフレベリング装置が備わったことで、荷重を問わず一定の車高を維持しました。まとまった数をシリーズ生産したモデルとしては、パワーアシストステアリングを標準で装備した初めてのフェラーリでもありました。ハンドルは左右どちらの仕様でも選ぶことが可能でした。
エンジンは各バンクに1本のカムシャフトを持つ4.4リッターV12のティーポ245。81mm x 71mmのボア・ストロークから4390ccの排気量を得ています。プラグはVバンクの外側に位置します。ツインチョークのウェバー40 DFI/5キャブレターを3基備え、点火は2基のコイル、ディストリビューターはエンジンの後方にマウントされました。公表出力は320hpとなっています。エンジンはオールシンクロメッシュ5速ギアボックスと組み合わされ、駆動力はプロペラシャフトを介してデフに伝えられました。そこからハーフシャフトを介して左右独立に吊られた後輪を駆動します。