340 MMは1953年のミッレミリア用に作られ、ジャンニーノ・マルツォットが見事、ヴィニャーレボディを架装したバルケッタを勝利に導きました。マルツォットはレース中、142 km/hを上回るスピードで走り、平均スピード記録を塗り替えました。しかし、その途方もないパワーのおかげで、実に操縦しにくいマシンという側面もあったのです。このマシンの実力を充分に引き出せるドライバーは、ほんのひと握りでした。ジジ・ヴィロレージはそうした偉大なドライバーのひとりで、同じ年のジーロ・ディ・シチリアを、爆音高らかに制したのです。F1チャンピオンのアルベルト・アスカリも、340 MMの開発に一役買っています。